研究実績の概要 |
構成性(constructivity)は、数理論理学の重要な主題の1つであり、直観主義論理における基本的要請と考えられている。また、構成的数学(constructive mathematics)の研究における基本的概念でもある。これを特徴的に表現するとされてきた、選言特性(disjunction property, DPと略記)と存在特性(existence property, EP)の2つの性質は、中間述語論理と直観主義的(構成的)数学の2つの分野でこれまでほぼ独立に研究されてきたが、重なり合う部分があることも解ってきた。これらの研究を融合的に進展させることを期待して本研究の構想を得た。本研究で構成性について理解を深め、直観主義的(構成的)数学の知見を吸収して、研究を大きく前進させることを目的とした。 構成的数学分野の研究者と議論し、両分野の橋渡しを考える中で、中間命題論理のKripkeモデルから中間述語論理のKripkeモデルを経由して直観主義的算術(Heyting arithmetic)のモデルを構築する手法を見出した。直観主義的算術の研究者とも議論を行い、算術的完全性定理(arithmetical completeness theorem)を利用できることが解った。こうした成果を共著論文にまとめ、現在投稿中である。 国内学会研究集会での成果発表:19回。うち1つは日本数学会分科会特別講演(招待講演)。国外では2回(うち1つ招待講演)。関連論文(査読付き3、査読なし1)を執筆。さらに投稿中と執筆準備中。 連携して議論をしていただき、共著論文を執筆できた以下の研究者諸氏に、深甚なる謝意を表する:石原哉(北陸先端科学技術大学院大学)、根元多佳子(現・広島工業大学)、藤原誠(現・東京理科大学)、横山啓太(現・東北大学)
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