研究課題/領域番号 |
16K05255
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
鈴木 登志雄 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30235973)
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研究分担者 |
隈部 正博 放送大学, 教養学部, 教授 (70255173)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 数学基礎論 / 数理論理学 / 計算可能性理論 / ゲーム理論 / 人工知能 / 命題論理 / 最適化問題 / ミニマックス定理 |
研究実績の概要 |
(1)形式言語理論:文脈自由言語に関する Yamakami の問題を解決した論文を、鈴木は2016年5月に出版した。本論文後半の結果について2016年9月に日本数学会秋季総合分科会(関西大学)で発表した。Toshio Suzuki, A solution to Yamakami's problem on non-uniform context-free languages. IAENG International Journal of Applied Mathematics 46, pp.187-193 (2016). (2)チューリング次数の理論:(2.1) 隈部は2016年9月に京都大学数理解析研究所で招待講演を行った。本研究は2016年10月に追加採択されたため、ここまでの仕事は厳密には本研究の準備段階に属する。 (2.2)帰納的枚挙可能次数はすべて2個の1-generic 次数に分解することが、Wu によって示され (2006)、Chong and Yu(2016)によって拡張されている。鈴木は首都大学東京の大学院生(水澤勇気、伴滉一郎)と協力してロールバック付き優先論法を導入し、Chong and Yuの結果(の特殊な場合)に対し別証明を得た。この結果を、2017年3月に日本数学会年会(首都大学東京)で発表した(登壇者は水澤)。 (3)AND-OR木: 鈴木はAND-OR木についての総合報告について最終的な校正を行い、2017年3月に出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究概要欄の通り、我々の研究活動はおおむね順調に進展している。ただし、年度当初に科研費が不採択であり、10月21日付で追加採択されたため、2016年度前半までの成果を本研究の成果と言えなくなった。それゆえ、5月の論文1報と、9月の学会発表1件ならびに招待講演1件を、本実績報告の研究発表欄に記載していない。このため、外形的には2016年度末時点の達成度はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Tarsi (1983, Journal of ACM) の結果を独立同分布以外の独立分布に拡張することを目指す。また、これと並行して、Chong and Yu(2016)の拡張にも取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度当初には科研費が不採択だった。そこで海外での活動をとりやめるとともに、国内で実行しやすい課題として、チューリング次数を重点的に研究していた。ところが年度後半で科研費追加採択を受けたのを受けて、研究の重点をゲーム木に戻した。(1) このように計画を修正せざるを得なかったため、また、(2) 2016年度に本研究費を使える期間が短かったため、結果的に次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
アウトリーチ活動として、数学基礎論サマースクールを開催する。このサマースクールの一部を使って、本研究の背景にある諸結果、とくに隈部の計算理論における仕事を紹介する。こうして研究を社会に還元するとともに、本研究と関連分野に興味を持つ若手研究者・大学院生を増やし、本研究の活性化に役立てる。
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