研究実績の概要 |
q 元体 F_q 上の長さ n, 次元 k, 最小重み d の線形符号([n,k,d]q 符号)が存在する限界を決定する問題(特に、[n,k,d]q 符号が存在するような長さ n の最小値 n_q(k,d) を求める問題)は、符号理論において最も基本的な研究課題の一つであり、最適線形符号問題(Optimal Linear Codes Problem)と呼ばれる。線形符号が拡張可能であるための条件を新たに求める研究、拡張定理を用いた Griesmer 符号等の非存在証明、新しい線形符号のコンピュータによる探索と分析、arc や blocking set といった有限射影幾何の特殊な構造を用いた新しい符号の構成等を通して、最適線形符号問題の解決を目指すのが本研究の主目的である。 本年度は、主に8元体上の最適な4次元線形符号(n_8(4,d) の決定問題)について取り組み、有限射影幾何の超平面に関する blocking set について知られている結果を用いた非存在証明や新しい符号の探索で得られた符号の一般化を行い、大学院生と共に、国際会議 OC 2017 (8th International Workshop on Optimal Codes and Related Topics) で報告した。また、最適線形符号のマトロイドへの応用として、線形空間の Critical Problem について、昨年度から引き続き熊本大学の城本啓介教授と共同研究を行い、得られた成果を国際学術雑誌 Designs, Codes and Cryptography に投稿し、掲載が決定した。更に、最適な5元5次元線形符号の問題にも取り組み、コンピュータを用いた探索の結果、今まで最適線形符号を構成するために使われた QC (quasi-cyclic) 符号や QT (quasi-twisted) 符号とは異なる構造を持つ符号の構成について、新たな知見を得た。
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