研究実績の概要 |
本年度は次の結果を得た. 1.被覆グラフに関する跡公式の拡張を得た.これは G. Ahumada (1987) らによるグラフの跡公式の熱核の場合の拡張になっている. 2.正則グラフの跡公式に現れる non-backtracking closed path を隣接行列のチェビシェフ多項式のtraceで表した. 結果は以下の論文にまとめ投稿中である. T. Hasegawa, T. Komatsu, N. Konno, H. Saigo, S. Saito, I. Sato and S. Sugiyama, The limit theorem with respect to the matrices on non-backtracking paths of a graph, preprint, 2020, arXiv:2005.09341. 3.I .Dumitriu と S. Pal が 2012 年に示した次数 d が頂点数 n に比べてゆっくり発散する場合 (d=n^{o(1)} の場合) のランダム正則グラフ G(n,d) の固有値の極限分布が半円則になるという定理のグラフの跡公式を用いた別証明について跡公式の収束について検討しきれていなかった箇所を詰めた.
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