研究課題/領域番号 |
16K05262
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
山下 登茂紀 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10410458)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | グラフ理論 |
研究実績の概要 |
(1)2018年の「閉路の長さの分布」に関する論文の中に書かれていた予想を千葉周也氏(熊本大学)氏との共同研究で解決した.この予想は1985年にThomassenによって提起された予想を導く.この結果に関しては,2019年3月25日~27日に開催された石巻組合せ論研究集会で発表した. (2)Guantao Chen(Georgia State University),千葉周也(熊本大学),Ron Gould(Emory University),Xiaofeng Gu(University of West Georgia),斎藤明(日本大学),津垣正男との研究で,非隣接2頂点の次数和という観点で,密なグラフには部分構造として密な2部グラフが存在することを証明した.グラフの位数が偶数の場合は,論文として書き上げ投稿した.グラフの位数が奇数の場合は,現在論文を執筆中である. (3)千葉周也(熊本大学),江川嘉美(東京理科大学),藤沢潤(慶應義塾大学),斎藤明(日本大学),Ingo Schiermeyer(Technische Universitat Bergakademie Freiberg),津垣正男との共同研究で,「ライングラフ上の指定された成分数の2-因子」に関する研究を行った.現在,論文執筆中である.石巻組合せ論研究集会で,共同研究者の津垣氏が発表した. (4)閉路に限らず部分構造の存在に関する極値グラフ理論の研究において,regularity lemmaを用いて部分的解決を得ている予想が数多く存在する.2018年5月に前澤俊一(横浜国立大学)を近畿大学に招き,次数3以上の頂点が少ない全域木の存在に関する小関-山下予想に対するregularity lemmaを使った部分的解決について,小関健太(横浜国立大学)と千葉周也(熊本大学)ともに議論した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)研究目的である「閉路に関するサーヴェイ論文の作成」に対して,そのサーヴェイ論文の1つの章「閉路の長さの分布」が完成した.さらに,千葉周也(熊本大学)との共同研究において,これに関して30年未解決問題であったThomassen予想を解決した. (2)Chen氏,千葉氏,Gould氏,Gu氏,斎藤氏,津垣氏との研究で,非隣接2頂点の次数和という観点で,密なグラフには部分構造として密な2部グラフが存在することを証明した.これは研究目的である「定理間の関係性に関する研究」と「条件間の関係性に関する研究」の2つに関連する研究となっている. (3)千葉氏,江川氏,藤沢氏,斎藤氏,Schiermeyer氏,津垣氏との共同研究で,「ライングラフ上の指定された成分数の2-因子」に関する研究を行った.現在,論文執筆中であり,今年度中には投稿する予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
(1)申請時の研究計画として,「閉路に関するサーヴェイ論文の作成」がある.「グラフに複数の閉路または道が存在するための次数和条件」についてのサーヴェイ論文が2018年1月国際雑誌に掲載された.今後は,「1つの閉路に関する次数和条件」についてのサーヴェイ論文を執筆する.そのための情報収集を行う. (2)以前,藤沢潤(慶應義塾大学)との共同研究で提案した予想に関連する論文が発表された.その証明はこれまでの証明方法とは異なっており,この方法を発展させることで予想の解決を図ることができないか模索する.この研究は研究目的の1つである「条件間の関係性に関する研究」に関連している.藤沢氏と千葉氏と共同研究を行う予定である. (3)閉路に関するサーヴェイ論文の作成のために「regularity lemma」に関する研究について,これまでの結果をまとめる作業を行う.その際,regularity lemmaの使用方法および確率的手法の習得して,これまで直接的には解決不可能であった予想に関して部分的解決を与えたいと考えている.そのため,小関氏,前澤氏,千葉氏と連携しながら,勉強および研究を進めていく予定にしている.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究協力者である千葉周也氏が所属する熊本大学に数回出張をする予定にしていたが,研究が想像以上に進展したため,出張が1回で済んだ.
(使用計画)慶應義塾大学で開催されている組合せ論のセミナーに参加する出張費として使用する.
|