研究課題/領域番号 |
16K05262
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
山下 登茂紀 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10410458)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グラフ理論 |
研究実績の概要 |
(1) 2018年のMaらによる「閉路の長さの分布」に関する論文の中に書かれていた予想を,千葉周也(熊本大学)との共同研究で解決し,4月にarXivに投稿した.しかし,10日後に我々の結果を含む結果がMaらによってarXivに投稿されたため,論文として投稿するのを諦めた.その後,千葉氏と共同研究を続けて,この3月にMaらの結果よりよい結果を示すことができた.現在執筆中である. (2) Guantao Chen(Georgia State University),千葉周也(熊本大学),Ron Gould(Emory University),Xiaofeng Gu(University of West Georgia), 斎藤明(日本大学),津垣正男との研究で,非隣接2頂点の次数和という観点では密なグラフは密な2部グラフを部分構造として含むことを証明した.グラフの位数が偶数の場合は,論文として書き上げ8月に投稿し受理され2020年2月に掲載された.グラフの位数が奇数の場合は,偶数の場合とは証明が全く異なっており,現在論文を執筆中である. (3) 千葉周也(熊本大学),江川嘉美(東京理科大学),藤沢潤(慶應義塾大学),斎藤明(日本大学),Ingo Schiermeyer(Technische Universitat Bergakademie Freiberg),津垣正男との共同研究で,「ライングラフ上の指定された成分数の2-因子」に関する研究を行った.千葉氏が8月にEuroComb2019で発表して,9月に査読付きの会議論文として掲載された. (4) 千葉周也(熊本大学),古谷倫貴(北里大学),小関健太(国立情報学研究所),津垣正男との共著で投稿していた「ハミルトン閉路の存在を保証するための次数和条件」に関する論文に対する改訂を行い再投稿し,12月に論文として掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 研究目的である「閉路に関するサーヴェイ論文の作成」に対して,すでに「グラフに複数の閉路または道が存在するための次数和条件」についてのサーヴェイ論文を書き上げて,2018年1月国際雑誌に掲載された.現在は複数の閉路でなく1つの閉路に関するサーヴェイ論文を書いていて今年度は大幅に加筆することができた.特に,千葉氏との共同研究もあり,「閉路の長さの分布」に関する章を拡充させることができた. (2) 研究目的の1つである「条件間の関係性に関する研究」に対して,「2部グラフにおいて完全マッチングを含む閉路が存在するための次数和条件」と「有向グラフにおいて有向閉路が存在するための次数和条件」の関係性に注目した千葉氏との研究成果が国際論文に掲載された.また,そこで得られた知見から「2部グラフにおいて複数の閉路が存在するための次数和条件」に関する結果を得た.その結果をまとめた論文が国際雑誌に掲載された. (3) 研究目的である「定理間の関係性に関する研究」と「条件間の関係性に関する研究」の2つに関連する研究として, Chen氏,千葉氏,Gould氏,Gu氏,斎藤氏,津垣氏との研究で,非隣接2頂点の次数和という観点で,密なグラフには部分構造として密な2部グラフが存在することを証明した.その結果をまとめた論文が国際雑誌に掲載された.
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今後の研究の推進方策 |
(1) 申請時の研究計画として,「閉路に関するサーヴェイ論文の作成」がある.2017年に1年かけて「複数の閉路または道が存在するための次数和条件」についてのサーヴェイ論文を執筆して,2018年1月に雑誌に掲載された.現在「1つの閉路が存在するための次数和条件」についてのサーヴェイ論文を執筆している.すでに参考文献が600を越えてページ数も150を超えている.参考文献数およびページ数が非常に多いため,その確認作業が1人では困難になってきている.千葉氏や津垣氏の協力を得て,このサーヴェイ論文の完成を目指したいと考えている. (2) 以前,藤沢潤(慶應義塾大学)との共同研究で提案した予想に関連する論文が発表された.その証明はこれまでの証明方法とは異なっており,この方法を発展させることで予想の解決を図ることができないか模索する.この研究は研究目的の1つである「条件間の関係性に関する研究」に関連している.3月に津垣氏に私が知らない新たな別の証明手法について詳しく,千葉氏も交えて説明してもらった.千葉氏と津垣氏と共同研究を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究協力者である千葉周也氏が所属する熊本大学に数回出張をする予定にしていたが,Maらの証明の精査に時間がかかり,研究が思うように進展しなかったため,話し合いを持つほど至らず,出張の回数が減ってしまった.さらに,3月に予定していた出張が新型コロナ流行拡大でできなくなってしまった. (使用計画) サーヴェイ論文に関して,謝金やバイト料を払って,600を越える参考文献の整理,および,150ページを越える論文の論文内容自体の精査およびタイポなどのミスのチェックをお願いしようと考えている.
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