研究課題
本研究課題は、再生核ヒルベルト空間論に立脚する機械学習の分野において近年注目を浴びている、複数再生核を用いた学習法に「射影バイアス推定」という新たな方法論を導入し、機械学習の性能を向上させることを目的としていた。一方、昨年度の理論研究の成果により、当初の目的を達成することは理論的に不可能であることが判明したが、当該検討の中で、汎化性能の高い再生核について新たな知見を得た。具体的には、推定対象である未知関数に想定する自己相関関数が期待値の意味で最適な再生核であることを解明している。今年度は、当該知見、すなわち、推定対象である未知関数の自己相関関数の重要性に立脚し、モデル選択において多く用いられる一方、その理論的妥当性については十分な解明がなされていなかった、Cross-Validation 法の理論的妥当性について解析を行い、Cross-Validation の意味で最小誤差を達成するモデルは、汎化誤差を最小化するモデルと、期待値の意味で一致することを証明するに至った。また、当初想定していた、複数再生核に基づく「射影バイアス推定」に代わり、単一再生核において、最小射影バイアスを達成する再生核を近似的に同定できることも解明した。この知見により、新たなモデル選択手法の構築が可能となる。これらの知見は、今後、対外発表する予定である。他方、再生核を用いた機械学習の応用展開の一つとして、製鉄に用いる溶鉱炉中の材料表面の形状推定法について検討し、一編の論文を公表するに至っている。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
ISIJ International
巻: 58 ページ: 1999~2008
10.2355/isijinternational.ISIJINT-2018-267
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
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