研究課題/領域番号 |
16K05269
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
三嶋 美和子 岐阜大学, 工学部, 教授 (00283284)
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研究分担者 |
神保 雅一 中部大学, 現代教育学部, 教授 (50103049)
宮本 暢子 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 准教授 (20318207)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | multifold factorization / cyclic group / cyclotomic polynomial / complement factor / periodic factor / decomposition / projective line / conflict-avoiding code |
研究実績の概要 |
(1) 有限巡回群が非自明な多重分解をもつための必要十分条件を明らかにし,これまでの先行研究では明示的に与えられていなかったbad factorizationと呼ばれる分解を与える多重分解因子の具体的な形を与えた.さらに,素数冪位数の有限巡回群がその位数の素因数の冪をサイズとする多重分解因子を1つでももつならば,分解因子のいずれかが必ず周期性をもつことを示した. また,これまでに知られていた整数環の分解と有限巡回群の分解との関係をより一般化し,周期性をもつ無限多重集合の分解と有限巡回群の多重分解との関係として表した.これらの結果は現在投稿準備中である.
(2) 射影幾何PG(2n-1,4)における直線全体がなすデザインの分割法について,部分デザインの総数を最大にするものは,射影一般線形群PGL(2,pow(4,2n))で固定されるものしかないことを(1)で得た巡回群の多重分解因子が周期性をもつ条件を用いて証明可能であることの見通しを得た.
(3) 重み3の衝突回避符号の最大符号語数は,符号長が奇数の場合についてはほとんど解明されていなかったが,単群の性質を利用することで,符号長n=pow(3,k)*pow(p,e) (kとeは非負の整数,pは3 (mod 8)を満たす素数)の場合に,タイトで最適な符号の構成法とともに最大符号語数を与えることができた.これにより,これまでは再帰的構成法が適用できず最大符号語数が未知であったいくつかの符号長系列に対し,最大符号語数が決定可能となった.この結果は査読付き国際雑誌掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 巡回群が非自明な多重分解をもつための必要十分条件に加え,分解因子が周期性をもつための巡回群の位数についての十分条件を与えることができた.
(2) 重み3の衝突回避符号の最大符号語数の決定に関して,単群の性質を利用することで,新たな奇数符号長のシリーズを与えることができた.
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今後の研究の推進方策 |
(1) 有限巡回群の多重分解因子が周期性をもつ条件を用いて,射影幾何PG(2n-1,3), PG(2n-1,4)の直線全体がなすデザインの最大分割数を与える分割法を分類する.
(2) 有限巡回群の多重分解問題とDSS(Difference System of Sets)およびEDF(External Difference Family)の存在問題との関係を整理する.
(3) 重み3の最適な衝突回避符号において,最大符号語数が決定できていない奇数符号長系列のうち,これまでに用いた手法が適用できない理由を精査する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度までに得られた巡回群の多重分解に関する結果を平成29年度に開催される国際会議で発表する旅費,およびH28年度までに得られた結果を研究課題とする組合せデザインに応用するための研究打ち合せ旅費の一部として,平成29年度分の科研費と合算して使用するため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度中に行われる国際会議および研究打ち合せ旅費(東京理科大学-岐阜大学)として使用予定.
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