研究実績の概要 |
(1) 有限巡回群の与えられた部分集合をその巡回群の非自明な多重分解の1つの分解因子と仮定したとき,多重度が最小となるような補因子が満たすべき性質を明らかにした.また,そのような性質を明らかにする過程で,lcm-closureという新たな概念を導入し,より一般的な特徴付けを行った.この結果は国際雑誌に掲載された.
(2) (1)で得られた結果のうち,巡回群の多重分解因子が周期性をもつための条件から,射影幾何PG(2n-1,4)における直線がなす5重スプレッドが5つの1重スプレッドに分割可能であるための条件,およびPG(2n-1,3)における直線がなす4重スプレッドが4つの1重スプレッド,あるいは2つの2重スプレッドに分割可能であるための条件を導くとともに,その関係性を明確化した.この結果は国際雑誌に投稿済みである.
(3) 重み3の最適な衝突回避符号について,最大符号語数が決定できていない奇数符号長系列のうち3^{3u+1}p^e (u >= 0, e >= 1, p≡1 (mod 8)は非Wieferich素数)となる場合について,符号語数の既知の上界からの改善を示すとともに,改善した上界を達成する符号の存在を,小さなパラメータに限定的ではあるが,円分数やヤコビ和を用いて確かめた.この結果を一般化することが今後の課題である.
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