研究課題/領域番号 |
16K05276
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
渡辺 雅二 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (30243546)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 数学モデル / 数値シミュレーション / 逆問題 / ポリマー / 鳥インフルエンザ |
研究実績の概要 |
バクテリアやカビとそれらの生育に必要となる炭素源との相互関係,あるいはウイルスとホストの相互関係のような微生物と微生物が依存する要因との相互関係を数学の枠組みの中で研究することを目標とした。特に,温室効果ガス排出削減計画に寄与するため,二酸化炭素の発生源の一つとなる合成ポリマーに対し,その生分解プロセスの解析法を確立させることを目標とした。また今後鳥から人間,更に人間から人間への感染が危惧される鳥インフルエンザの流行を抑制し,更に養鶏産業が被る経済的損失を軽減させるため養鶏ファーム内での蔓延を抑制する方法の提案も目標とした。更に,これらの問題に対する数理解析手法を確立させることにより,数学の発展に寄与することも目標とした。今年度は,ポリマー生分解プロセスに関しては,微生物個体数のモデルに関す結果が得られた。微生物が平衡状態を維持するために必要となる単位個体数当たりの炭素源消費量があり,単位個体数当たりの炭素源供給量がより大きい場合微生物は増殖し,より小さい場合減少するというシナリオからポリマー重量分布(質量分布)の変化速度の時間ファクターである微生物個体数のモデルに関する逆解析の手法が提案された。このモデルは三つのパラメータを含む。それらのパラメータの値を特定し,ポリマー重量分布と微生物個体数の推移をシミュレーションすることに着目した。また,養鶏ファーム内での鳥インフルエンザ感染プロセスに関しては,ウィルスの拡散を考慮に入れた非線形拡散方程式の進行波解に着目した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリマー生分解プロセスにおいては微生物が平衡状態を維持するために必要となる単位個体数当たりの炭素源消費量があり,単位個体数当たりの炭素源供給量がより大きい場合微生物は増殖し,より小さい場合減少することが想定され,ポリマー重量分布(質量分布)の変化速度の時間ファクターである微生物個体数のモデルが既に提案されている。このモデルには三つのパラメータが関係する。こららのパラメータの値を特定するため実験結果を導入した逆解析が行われ,またポリマー重量分布(質量分布)と微生物個体数の推移のシミュレーションがなされた。養鶏ファーム内の鳥インフルエンザ感染プロセスに関しては,ウィルスの拡散を考慮に入れた非線形拡散方程式の進行波解に関する考察がなされた。
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今後の研究の推進方策 |
ポリマーの生分解プロセスでは,バクテリアやカビは炭素源としてのポリマーの十分な供給のもとで生育し,不十分な供給のもとでは減少し,更にポリマーの枯渇とともに消滅することが想定される。また,養鶏ファームに侵入した鳥インフルエンザウイルスは養鶏ファーム内の鶏をホストとして増殖し,ホストである感染個体の除去により減少し,更に十分な感染個体の除去により鳥インフルエンザウイルスは養鶏ファーム内から一掃されることも想定される。いずれの場合も微生物が栄養源あるいはホストという外部要因に依存し,成長あるいは減少する。今後も本研究を推進するため,この微生物の増減と外的要因の変化プロセスを数学的にモデル化し,モデルに基づく解析を行い,更にモデルに基づく数値シミュレーションを実施しモデルの妥当性を検証することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に繰り越すことによりその一部を非常勤研究員の雇用に充当することが可能となり,その結果研究体制の強化をはかることが可能となる。
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次年度使用額の使用計画 |
国内外における研究集会参加,非常勤研究員の雇用に使用する。
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