研究課題/領域番号 |
16K05280
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
松下 慎也 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (20435449)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非凸集合 / 制約可能性問題 / 射影法 |
研究実績の概要 |
本研究では、非凸制約可能性問題を効率的に解くための解法について研究をおこなう。特に非線形解析学の分野で活発に研究されている射影法の知見を用いて、非凸制約可能性問題を解決する新たな求解法の開発を目的とする。平成28年度の目標として、以下の内容を挙げた。 (1) 非凸性の調査を進める。先行研究の詳細な調査及び非凸集合の射影に関する文献を調査する。具体的には、非凸構造を持つ集合の中で、制御工学や信号処理と密接に関連するランク制約を持つ集合の構造について検討を進める。また、そのような構造を含む制約可能性問題に適用可能な解法について調査を進める。 (2) 関連する専門家達との打ち合わせ、関連する研究集会や学会に参加することで議論をおこなう。 これらに基づき研究をおこなった。特に複数の集合の共通部分の最短点を見つける問題(最良近似問題)に対する解法について研究した。具体的には、先行研究では集合値写像に対して提案された解法について、集合値写像を適切に定義することで、最良近似問題として問題を定式化できることがわかった。また、その解法は、ヒルベルト空間において、任意の初期点から構成された点列が問題の解に弱収束することが保障されている。この解法について最良近似問題からの視点から研究を進め、集合に対して制約想定に関連する条件を仮定することで、有限回の繰り返して集合の共通部分の点に到達することを示した。また、解法によって生成された点列の収束の速さについても検討をおこなった。点列の収束速度の評価は理論的にも興味深いだけでなく、計算機を使って具体的な問題を解く際に重要となる。今後の課題として、今回の解法をランク制約を持つ非凸な集合を含む制約可能性問題に対して適用し、その結果を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗がおおむね予定通り順調であることの理由として、制約可能性問題、特に最良近似問題について調査を進め、スレーター条件と呼ばれる制約想定と関連を持つ条件のもとで、提案した解法が問題の解に到達することを示すことができた。一方、制約可能性問題等を含む一般的な数学モデルである不動点問題に対する解法について、収束の速度の評価に関する新たな知見を得ることができた。また、関連する研究集会、国内学会及び国際会議に出席して講演することができ、他の参加者と本研究に関する内容について活発に意見交換することができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に研究した最良近似問題に対する解法について、さらに調査を進める。具体的には提案した解法が、集合が非凸構造を持つ場合にどのような性質を持つか検討する。過去の研究では、集合が非凸構造を持つ場合、正則性と呼ばれる条件を仮定すれば、初期点を解に十分近いところで取れば構成された点列が解に収束することが保障されている。この条件を仮定することで、新たに提案した解法が解に収束するか検討する。また、収束が保障された場合、前年度の成果を応用して収束速度の評価を検討したいと考えている。
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