研究実績の概要 |
本研究の目的は次の通りである。不確実性の数学的表現として、確率場を扱う確率論や統計学はネットワーク化された社会基盤に多大な貢献をしている。近年は、金融不安や地震災害など様々なリスクの中で、安定した社会基盤を築くことが求められている。リスクは不確実性と深くかかわり、リスクの数学的性質は心理学や経済学など様々な分野で研究されてきた。本研究では、経済や災害のリスク環境における意思決定の解析的性質を数理計画の観点から考察する。とくに、リスクを伴う確率場と意思決定者の評価基準の相互関係について数理的モデルを用いて研究する。また、社会や経済におけるリスクの連鎖も研究目的とし、ダイナミックスを伴うリスク環境における意思決定の解析的推移を数理計画の観点から研究する。 本年度は、前年度までの項目(a) Value-at-Riskを用いたcoherent risk measure一般化 (b) リスク測度の構築 (c) 効用関数の統合の研究と多目的リスク回避への研究 (f) 離散時間の決定過程全体としてリスク評価基準 (h) 最適決定の数理ファイナンスへの応用をさらに深く研究し、新しい結果が得られた。 (a)(b)(c)については、効用関数の下での最適なcoherent risk measureの構築を行い、その結果を国際会議MDAI2018と日本数学会で発表した。その内容は、Springer出版のLecture Notes in Artificial Intelligence 11144に公開されている。また、(f)(g)については、国際会議CiSt 2018でリスク最小化を議論し 国際会議FUZZ-IEEE 2018, ICRITO 2018, 国際会議CiSt 2018で利得最大化を議論した。その結果については各々のproceedingに収められている。
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