本研究の目的は、極低温な大質量分子雲クランプと極若い原始星周囲の化学組成に着目し、大質量星形成領域における星なしコア時代のタイムスケールについて調査することである。野辺山45m望遠鏡を用いた重水素化分子輝線のサーベイ観測から、極低温大質量分子雲クランプの重水素濃縮度にばらつきがあることがわかった。さらに、ALMAを用いた観測によって、分子雲クランプ内部の重水素化分子の詳細な分布も明らかにした。また、ALMAによる極若い原始星の観測から、原始星方向に重水素化分子が豊富に存在することもわかった。これらの結果は、大質量星形成の星なしコア時代のタイムスケールに多様性があることを示唆している。
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