研究課題
交付申請書記載の研究計画(1):赤方偏移2付近で、同じ手法による観測結果が出版されてしまった。観測結果は我々の結果とほとんど同じであり、解釈についても同様であるが、先方のデータは我々のデータより深いため、こちらで今後の論点にしていた部分についても一定の結果が得られていた。このため、論文化は中断することとした。研究計画(2):平成29年度中にALMAのよるCOデータが取得され、データの配布を受けた。平成30年度にデータ解析を実施する。研究計画(3):野辺山宇宙電波観測所で取得した、棒渦巻銀河NGC1300とNGC5383のデータを詳細に解析した。棒部におけるCO輝線の線幅が広い傾向にあり、検証しようとしているシナリオを支持する結果を得た。この結果を元に、高空間分解能観測を行い、個別の分子雲を同定してその性質を調べることを目的に、NGC1300についてはALMAに、NGC5383についてはNOEMAに観測提案をした。NGC5383についてはランクBで採択されたが平成29年度中には観測は実施されなかった。NGC1300については、ALMAでの観測が実施され、平成30年度初頭にデータの配布を受けたので、平成30年度に詳細なデータ解析を行なう。研究計画(4):上記野辺山での観測結果とハッブル宇宙望遠鏡などのデータを用いて、棒渦巻銀河の棒部と腕部における星形成効率を測定した。星形成率は可視Hα輝線の狭帯域撮像データを元に推定し、分子ガス量はCO輝線から導出した。この結果、棒部における星形成効率が低いことが確認されたが、弱い棒構造での星形成効率よりもずっと低い効率であることが示され、典型的な強い棒構造で星形成の抑制を調べることの重要性が明示された。その他、高赤方偏移のサブミリ銀河の性質について、ALMAを用いた研究を推進する等関連研究も推進した。
3: やや遅れている
研究計画(1)については、中断せざるを得なかった。研究計画(2)については、ようやくALMAによる観測が実施されそのデータの配布を受けたので、今後詳細解析を行なう。データの配付が遅く、最終年度に集中して解析しなくてはいけないという意味でやや遅れていると判断される。また、研究計画(3)についても、年度内にデータの配布がなく、平成30年度に配付されたため、やはり最終年度で詳細解析をする必要があり、少々タイトなスケジュールとなってきた。
上述のように、研究計画(2)と研究計画(3)については、データの取得ができたので、今年度に詳細解析を行なう。また論文化を目指す。
平成29年度は教室主任としての用務が非常に多く、思うように研究を推進することが難しかった。また、データの配布が遅く、平成29年度にはデータ処理・解析があまり行なえなかったこと、論文出版費の請求が年度末になって科研費から支払うことができなかったこと、等が要因かと思われる。平成30年度はデータ処理・解析も多く、経費が必要になると予想される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
The Astrophysical Journal
巻: 853 ページ: 24~24
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