研究課題/領域番号 |
16K05304
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
小久保 英一郎 国立天文台, 理論研究部, 教授 (90332163)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 惑星系形成 / 太陽系 / 惑星集積 / 多体シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、惑星系形成の作業仮説である「連鎖集積シナリオ」にそって、複数の惑星から構成される惑星系の構造形成の素過程を調べ、太陽系と系外惑星系の構造の起源を明らかにすることである。このシナリオの素過程を調べるために、汎用GPU(グラフィックプロセッシングユニット)用いた専用実験装置「惑星系形成シミュレータ」を構築し、それ用の高速多体シミュレーションコードを開発し、惑星集積の大規模多体シミュレーションを系統的に実行する。平成28年度は、この惑星系形成シミュレータの構築とシミュレーションコードの開発を実施した。
ハードウェア: 汎用 GPU として、新しく発売された Pascal アーキテクチャの NVIDIA TESLA P100 (倍精度演算性能4.7 Tflops)を採用することにした。申請時からの予算の変更もあり、今年度は GPU は1台のみの購入にすることに変更した。GPU を PC に実装し、惑星系形成シミュレータを構築し、試験計算を行っている。
ソフトウェア: 多体シミュレーションでもっとも計算量が多い天体間の重力相互作用の計算をGPU で行う。まず、GPU を使うための専用ライブラリの高速化を行った。専用ライブラリは K&F Computing Research の CUDA パッケージを使用した。そして、それを用いた惑星集積の多体シミュレーションコードを開発し、機械語レベルで最適化を行った。また、原始惑星系円盤ガスと微惑星の相互作用(ガス抵抗、重力抵抗)を実装した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画通り、汎用 GPU を用いた専用実験装置「惑星系形成シミュレータ」を構築し、高速多体シミュレーションコードを開発できた。予算の都合で GPU クラスタにはできなかったが、今後シミュレーションを遂行するための最低限の演算性能は達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
研究ははおおむね予定通り進んでいる。来年度以降は、「惑星形成シミュレータ」をハードウェアとソフトウェアの両面で増強・改良しつつ、連鎖集積の素過程を明らかにするための惑星集積多体シミュレーションを予定通り遂行する
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次年度使用額が生じた理由 |
予算申請額と交付額の違いや、新型汎用 GPU の登場によって、惑星系形成シミュレータのハードウェア構成を変更したため、また、参加予定だった国際会議が治安の不安定化によって開催中止になったため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度分の残額は、平成29年度分予算と合わせて惑星系形成シミュレータのハードウェアの増強に使用する予定である。
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