研究課題/領域番号 |
16K05310
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研究機関 | 特定非営利活動法人日本スペースガード協会(スペースガード研究センター) |
研究代表者 |
浦川 聖太郎 特定非営利活動法人日本スペースガード協会(スペースガード研究センター), スペースガード部門, 主任研究員 (80647842)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小惑星 / 測光 |
研究実績の概要 |
本研究では、口径8.2mのすばる望遠鏡に導入された新広視野カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)を用いて、地球接近小惑星・ハンガリア領域小惑星・メインベルト小惑星のサイズ分布を求め、小惑星が受けた軌道進化や衝突機構を観測的に証明することを目的としている。また、E-beltモデルに対する観測的な制約を与え、後期重爆撃期における小惑星サイズ分布の解明に迫る。 平成28年度は、データ解析環境の整備と実際の画像解析の実施を行った。HSCは104枚ものCCDからなり、画像解析を行うためにはHSC-pipelineと呼ばれる専用のデータ解析ソフトウェアが必要となる。HSC-pipelineを動作させるには、メモリサイズとCPUコア数が多い、高性能のコンピューターが必要となる。研究を開始するにあたり、高性能コンピューターの準備とHSC-pipelineのインストールを行った。その後、平成27年1月にすでに取得していた、HSCの観測データを用い、画像解析を行った。画像解析は、問題なく行われた。小惑星は遠方の恒星や銀河と比較して地球の近くに存在している。そのため、時間をおいて同じ領域を撮像すると、視野内で小惑星の位置は移動する。従って、移動する天体を検出すれば、それは小惑星ということになる。解析済みの画像を目視にて調査したところ、数100天体を超える小惑星が撮像されていることを確認した。これらの小惑星を自動的に検出するための、ソフトウェアの開発に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HSC-pipelineを用いた画像解析手法は、これまで自身が行ってきた画像解析手法と異なるため、データの取り扱いに慣れるまで時間が掛かる点があった。しかしながら、数回の試行錯誤を行った後は、概ね順調に画像解析を実行できるようになった。また、HSCを用いて小惑星観測を行っている他の研究者と打ち合わせを複数回行い、解析手法の改善や問題点などの洗い出しも行った。 日本天文学会秋季講演会、日本惑星科学会秋季講演会、スペースガード研究会等において研究発表を行った。加えて、サイエンスカフェにおいてアウトリーチ活動も行った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおり、小惑星を自動的に検出するソフトウェアの開発を引き続き実施する。データ容量が増加してきているので、適時HDDの増設とデータバックアップを行う。この点も予定どおりである。平成29年度中のメインベルト小惑星のサイズ分布の導出を目指す。当初予定と異なる点として、検出した小惑星の位置と明るさの情報を、国際的に小惑星の観測データの取りまとめを行っているMPC(Minor Planet Center)へ報告することを考えている。このことにより、サイズ分布だけでなく、数多くの小惑星の軌道情報の精度向上に寄与できるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度4月に開催される国際学会参加のため、前倒し請求で航空券購入を行った。航空券が当初予定より低価格で購入できたため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
増設HDDを当初より容量の大きいものとして、データバックアップ体制の充実を図る。
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