H27年度の研究では引き続き、超対称性を持つ2・3次元時空上の場の理論を調べた。 2次元では場の理論を超重力背景場に結合させた系を考え、超重力理論の変換則をコンピュータ上で実装することにより超対称性をあらわに保つ作用の相殺項を構成した。それを超対称性を保つパウリ・ヴィラーズ正則化法と組み合わせることで、紫外発散の正則と繰り込みを行い、超対称局所化法の精密化に成功した。 また2次元理論の超対称な渦演算子の定量的な研究を進め、異なる定義の間の非自明な関係や演算子が満たす chiral ring での関係式を導いた。その導出においてはトポロジカル絶縁体でのエッジモードに関する知見をもとに、2次元理論中の場のモードの一部が0次元に局在して0次元場に帰着するすることを利用した。渦演算子の相関関数の計算では精密化した超対称局所化法を適用し、演算子のスケーリング次元を決定することや、N=2 超共形ミニマル模型に低エネルギーで帰着するランダウ・ギンズブルグ模型のツィスト演算子の相関関数を経路積分法で計算することに成功した。これらの結果について、イタリアでの国際研究会で報告した。 3次元では、2次元の場合と同様に超対称性を保つパウリ・ヴィラーズ正則化法をレンズ空間上の超対称理論に適用することで、1ループ分配関数を精密に計算し、双対性・分配関数の因子化の性質などから予想されていた背景ゲージ場への依存性を正しく再現することに成功した。
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