ミュー粒子異常磁気能率(muon g-2)の実験による測定値と既知の素粒子構造による理論値の間には「ずれ」が窺われる。 理論値はQCD(陽子などの原子核を形成する力の理論)が光-光散乱振幅を介してmuon g-2に及ぼす効果(HLbLの寄与)を含む。QCDのモデル計算でしか計算できなかったHLbLの寄与の大きさはずれと同程度であるため、ずれが新素粒子構造の存在に由来する点を断定できなかった。 本研究はQCDによるHLbLの寄与の理解を世界に先駆けて実現してこの難点を解決した。改定後の理論値は2021年に発表されたmuon g-2の次世代実験の測定値と比較され、未知の素粒子構造の存在を示唆した。
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