研究成果の概要 |
Quasideterminantと呼ばれるある種の非可換行列式を要に, 非可換空間上のソリトン方程式の持つ数理構造の解明,解の構成・解析,および弦理論・可積分系への応用を推し進めた. 特に4次元反自己双対ヤン・ミルズ方程式を代表とする高次元可積分系とKP, KdV方程式を代表とする低次元可積分系との関連について詳しく調べ, 佐藤理論の高次元化やN=2弦理論への応用を議論した. QuasiWronskianで書ける多重ソリトン解を構成したのは重要な知見であり, タウ関数の理論構築への可能性, N=2弦理論における新しい交差ブレーンの存在の予言, 現象論・宇宙論への新しい応用を示唆している.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
4次元反自己双対ヤン・ミルズ方程式は素粒子論・数学において極めて重要な方程式であるが, その新しいタイプのソリトン解が見出されたのは重要な成果である. 不定値計量での解はただちにN=2弦理論に応用でき, 未知のブレーン配位が予言されている. ユークリッド計量, ミンコフスキー計量でのユニタリな解が構成されれば, ダークマターの起源といった素粒子現象論・宇宙論の長年の問題に解答を与える可能性がある. 数学的観点においても, このロンスキアン解からタウ関数の理論の存在が示唆されており, 佐藤理論の高次元化という40年来の問題の解決につながるかもしれない.
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