研究実績の概要 |
今年度は、目標としている重力の量子論とその応用、検証に関して以下のような成果を得た。まず、現在の宇宙における重大な問題として、小さな宇宙項の問題がある。古典的にも量子論的にもなぜこれが小さいのかが理解されていないが、我々はユニモジュラー重力理論を量子論的に考察し、古典的にも量子論的にも、第1近似として宇宙項は0であり、かつ物理的に広く受け入れられている一般相対論と同等であることを示した。また、宇宙論を考えたとき、宇宙初期のインフレーションや現在の加速膨張を説明するために、一般相対論を拡張する可能性が興味を持たれているが、その中でもf(R)重力が有力な理論と考えられている。その理論において、インフレーションなどを議論するとき、スカラー場を用いた定式化が非常に有用であるが、それは古典的にはf(R)と同等であるという理解しかされていなかった。本研究では、これらが量子論的にも同等であることを世界で始めて示した。 これらの成果は、2017年6月24日から7月1日にかけて中国成都で行われた国際研究集会The 2017 Annual meeting of the Division of Gravitation and Relativistic Astrophysics of the Chinese Physical Society / The Fifth Galileo-Xu Guangqai Meeting、8月23日から25日に韓国釜山で行われたString Theory, AdS/CFT, Theoretical and Observational Cosmology、10月22日から25日に中国揚州で行われた The First Symposium of the BRICS Association on Gravity, Astrophysics and Cosmologyなどで招待講演として発表し、多くの興味を集めた。
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