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2020 年度 実施状況報告書

漸近的安定性による量子重力理論の研究と検証

研究課題

研究課題/領域番号 16K05331
研究機関近畿大学

研究代表者

太田 信義  近畿大学, 理工学部, 教授 (90167304)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2022-03-31
キーワード量子重力理論 / くりこみ群 / 漸近安全性 / 宇宙項問題
研究実績の概要

今年度は、目標としている重力の量子論とその応用、検証に関して以下のような成果を得た。
重力の量子論を定式化するのにくりこみ群を使う方法で、重力が非摂動的にくりこみ可能であることを検証するためには、理論をどの範囲までにかぎるべきかをきちんと調べておくことは重要な課題の一つである。これに関して、一般の背景場の下で2次までの高次曲率項をいれて調べた結果、それが3つの演算子に限られるという結果を得た。これは今まで誰も調べておらず重要な結果と考えている。
また、高階微分を含む重力理論で、高階微分を含むゲージ固定を行って量子化する場合、理論がユニタリーであることを保証するためには第3のゴーストと呼ばれるものが必要であることが指摘されてきた。それは複雑な計算の結果調べられていたが、私はBRST対称性に基づく一般的な手法によりそれが非常に容易に決定できることを示した。
これらの話題に関する国際研究集会Exact Renormalization Group 2020 (ERG2020)を11月2-6日、京都大学において、主にZoomによって開催した。私はその組織委員長として会議の運営に当たった。
以上の成果について、以下の発表を行った。10月12-16日、デンマークのUniversity of Southern Denmark、CP^3 Origin主催の国際研究集会Quantum spacetime and the Renormalization Groupにて(Zoomによる開催になった)招待講演を行った。3月12-15日、Zoomによる日本物理学会にて、学生の山口大輝君が発表を行った。また、3月22-25日には、大阪市立大学にてZoomと現地参加の混合で行われた国際研究集会Randomness, Integrability and Representation Theory in Quantum Field Theory 2021にて招待講演を行った。
残念なことに、コロナのため会議に参加したり、共同研究者と直接議論できなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画では、重力の量子論の定式化における様々な問題点の整理をし、それらを解決する方策を探るとともに、非摂動的にくりこみ可能な理論を制限することを目標としていた。これらの目標はほぼ達成されている。

今後の研究の推進方策

漸近的安全性により重力の量子論を構築していく上で残されている重要な問題のうち、非摂動的にくりこみ可能な理論をどの範囲にまで限ったら良いかという問題に目処がつき、成果を発表した。ただそこにはまだ解決するべき問題が残っているので、そこを解決したい。また、くりこみ群を用いて、この理論が低エネルギー現象にどのような影響を持つのかを、くりこみ群方程式を低エネルギーまで積分することにより調べたり、またブラックホールや宇宙初期の特異点に対する効果など、物理的な結果を得て、実験、観測的な予言を行い、この理論を検証することを目指したい。このために研究費を活用して、共同研究者と直接議論する機会を持ちたい。

次年度使用額が生じた理由

今年度はコロナのため予定していた共同研究のための海外渡航が全く出来なかったため、次年度使用額が生じました。次年度には是非、共同研究を実現したいと考えます。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] SISSA(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      SISSA
  • [雑誌論文] Towards the determination of the dimension of the critical surface in asymptotically safe gravity2020

    • 著者名/発表者名
      Kevin Falls, Nobuyoshi Ohta and Roberto Percacci
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 810 ページ: 135773-1 -- 7

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2020.135773

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] General Procedure of Gauge Fixings and Ghosts2020

    • 著者名/発表者名
      Nobuyoshi Ohta
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 811 ページ: 135965-1 -- 4

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2020.135965

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 量子補正した Reissner-Nordstromブラックホールとその内部構造2021

    • 著者名/発表者名
      山口大輝、石橋明浩、太田信義
    • 学会等名
      日本物理学会
  • [学会発表] Asymptotic Safety Approach to Quantum Gravity2021

    • 著者名/発表者名
      Nobuyoshi Ohta
    • 学会等名
      Randomness, Integrability and Representation Theory in Quantum Field Theory
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Towards the Determination of the Dimension of Critical Surface2020

    • 著者名/発表者名
      Nobuyoshi Ohta
    • 学会等名
      Quantum Specetime and the Renormalization Group
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Days with Maeda-san2020

    • 著者名/発表者名
      Nobuyoshi Ohta
    • 学会等名
      7th Korea-Japan Workshop on Dark Energy
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 重力の量子論入門 -- 漸近的安全性によるアプローチ --2021

    • 著者名/発表者名
      太田 信義
    • 総ページ数
      223
    • 出版者
      丸善出版

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公開日: 2021-12-27  

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