研究課題
基盤研究(C)
本研究の大きな成果は2つある(1)反対称化分子動力学模型を用いてクラスター共鳴を記述する方法を発展させ、さらに崩壊幅を求める新しい方法を開発した。これにより、微視的核構造模型に基づいてクラスター共鳴を定量的に記述することを可能にした。(2)上記の理論模型を用いることで、C+C共鳴, C+O共鳴の性質を示し、既存の実験データとの比較を行うことで、その信頼性を示した。また、炭素同位体の直鎖クラスター構造の性質を示し、実験データと比較することで、直鎖クラスターの実在を証明した。
原子核理論
本研究が研究対象とするC+C共鳴やC+O共鳴は、赤色巨星や超新星爆発での元素合成に深く関与しており、その性質解明は、我々の身の回りにある元素の起源を探ることにつながる。従来は、こうした共鳴の性質を調べることは、極めて困難であったが、本研究はその定量的記述を始めて可能にしたものとして学術的意義がある。また、同じ理論手法を用いることで、50年以上も未解決であった直鎖クラスター状態の問題に対して、肯定的解答を示したことも重要な成果である。