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大体積かつ物理点に近いクォーク質量での格子 QCD 計算を行い、ラムダ核子、およびシグマ核子系のポテンシャルを、中心力、テンソル力を含む偶パリティ軌道について、その結合チャネルまで含めて、解析を進めている。当該年度においては、本計画の最終的な統計数(当初計画に対して 200 %)のデータを用いた上で、ラムダ核子相互作用の単一チャネルの枠組における解析を行った。この枠組で得られるポテンシャルは同じ量子数を持つ励起状態であるシグマ核子チャネルが開く閾値以下において有効であり、単一チャネルの枠組による解析の方が結合チャネルの枠組による解析よりも統計誤差の改善が見られることが分かった。また、研究期間全体を通じて、アイソスピン I=3/2 チャネル・スピン三重項のシグマ核子相互作用が斥力的であるという位相差の結果を得ている。この結果は、J-PARC のハドロン実験施設において行われたハイペロン散乱実験 (E40 実験) の最近報告されている位相差解析の結果と定性的にきわめて良い一致を示すものとなっている。この成果は、本研究計画の大きな柱である大体積かつ物理点に近いクォーク質量での格子 QCD 計算によって予言された結果が、実験によって確認された初めての事例である。さらなる系統誤差の評価などをすすめ、より定量的な比較・分析を今後進めていく予定である。
また、今後は、格子QCD計算から得られたラムダ核子、およびシグマ核子系の、偶パリティ軌道についての中心力、テンソル力ポテンシャルと核力ポテンシャルを用いた、ハイパー核の少数多体系の計算を実行する予定である。
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