本研究では、正エネルギー定理を拡張の模索を行った。正面突破は長期戦となると判断し、証明の技術面においてブラックホールと関係があることに着目することで、唯一性定理や強重力場における時空の数理構造を明らかにした。具体的には、(i)唯一性定理で重要な恒等式の系統的導出、(ii)スカラー場を伴うブラックホール時空の光面(photon sphere)の外側での唯一性,(iii)強重力場の数学定式化と面積不等式の証明、などを行った。平行して正エネルギー定理の証明の読解を数学者の協力を得ながら行うことで、宇宙論に応用しやすい形の新しい証明に関する論文を準備している。
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