研究実績の概要 |
2フレーバーパリティ2重項模型を用いた解析: 昨年度末に解析を開始した高密度核物質中での、デルタ物質相、及び、非一様凝縮相の解析をまとめた。[Phys.Rev. C97 (2018), 065202; Phys.Rev. D97 (2018), 094032] 次に、基底状態の核子に加え、3個の励起状態を含む有効模型を、パリティ二重項構造に基づいて構成し、質量と崩壊幅に関する実験結果と比較することにより、カイラル不変質量に制限をつけた。[Phys.Rev. D99 (2019) no.3, 034012]; さらに、重力波観測による中性子星物資の状態方程式への制限と比較することにより、カイラル不変質量が核子質量全体の半分以上を占めていることを示した。[論文投稿中] ヘビークォークを含むバリオンに対するカイラル有効模型を用いた解析: ヘビークォークを1つ含むバリオンの有効模型を、ヘビークォーク対称性とカイラル対称性に基づくパリティ2重項構造を用いて構成した。そして、現在の実験結果をよく再現することを示した。さらに、実験では未測定の崩壊幅を予言した。[Phys.Rev. D97 (2018), 114024] また、この模型を3フレーバーに拡張した解析を実施した。[論文投稿中] ペンタクォークのヘビークォーク対称性に基づく分類: ヘビークォークを含むバリオンと反ヘビークォークを含むメソンの束縛状態として記述されるペンタクォークのパリティ2重項構造を明らかにすることを目的とし、その前段階として、ヘビークォーク対称性に基づいて分類した。そして、実験で観測されているペンタクォークの、ヘビークォーク対称性の下でのパートナーの存在を予言した。[Phys.Rev. D98 (2018), 014021] また、その拡張解析を実施した。[論文投稿中]
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の「研究計画・方法」に記載した、「2フレーバー・パリティ2重項模型の整備」に関しては、真空から標準原子核密度までを統一的に記述する模型を提案した、更に、中性子星の状態方程式からの制限を取り入れることによりカイラル不変質量に制限を加えた。[Phys.Rev. D99 (2019), 034012; 論文投稿中] これにより、当初の目的はほぼ達成された。 また、「2フレーバー・パリティ2重項模型を用いた相構造の解析」では、論文[Phys.Rev. C97 (2018), 065202; Phys.Rev. D97 (2018), 094032]でデルタ物質相や非一様カイラル凝縮相の存在可能性を示し、その目的を達したと考える。 さらに、「重いクォークを含むハドロンのパリティ2重項構造の解析では、前年度に発表した論文[Progress of Theoretical and Experimental Physics, Volume 2017, Issue 11, 1 November 2017, 113D01]等におけるメソンの解析、及び、今年度に発表した論文[Phys.Rev. D97 (2018), 114024: 論文投稿中]におけるバリオンの解析により、ほぼ達成したと考える。
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