研究実績の概要 |
2フレーバーパリティ2重項模型を用いた解析: 前年度には、基底状態の核子に加え、3個の励起状態を含む有効模型を、パリティ二重項構造に基づいて構成し、真空での質量と崩壊幅に関する実験結果と比較することにより、カイラル不変質量に制限をつけた。そして、重力波観測による中性子星物資の状態方程式への制限と比較することにより、カイラル不変質量が核子質量全体の半分以上を占めていることを示した。[Phys. Rev. C 100, no. 2, 025205 (2019)] ヘビークォークを含むバリオンに対するカイラル有効模型を用いた解析: 前年度に、ヘビークォークを1つ含むバリオンの有効模型を、ヘビークォーク対称性とカイラル対称性に基づくパリティ2重項構造を用いて構成した。今年度は、この模型を3フレーバーに拡張した解析を実施した。そして、実験で観測されている粒子の情報から模型のパラメータを決定し、未発見の粒子の質量・崩壊幅に対する予言を行った。 ペンタクォークのヘビークォーク対称性に基づく分類: 前年度の解析を拡張し、ヘビーメソンとヘビーバリオンのP波束縛状態として構成されるペンタクォークの分類を行った。 カイラル2重項構造に基づくダイクォーク模型の構成: 軽いクォーク2個から構成されるダイクォークに対する有効模型を、カイラルパートナー構造に基づいて構成した。そして、不パリティ状態では、ストレンジクォークを含むダイクォークが、アップ・ダウンクォークのみから構成されるダイクォークよりも軽くなる可能性を指摘した。
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