研究課題
変革したクラスター模型はTHSR(Tohsaki-Horiuchi-Schuck-Roepke)波動関数を用いる模型であるが、Container模型と命名されたこの模型によるクラスター構造の研究が更に多様な構造に成功裡に適用された。安定核においてはA=12のC核の負パリティの励起状態がそれぞれ単一のTHSR波動関数によって十分に良く記述されることが示された。これは、近年に至っても多くの研究者が採用しているαークラスターの結晶構造模型に疑問を投げかける結果である。不安定核では質量数AがA=10のBe、B、Cに於けるα+α+2Nの構造の状態がContainer模型によって良く記述されることが示された。Container模型によるこれら2つの研究はPhysical Review C誌に投稿されて良い評価を得ている。Container模型は殻模型的な構造の基底状態から励起エネルギーの上昇につれて様々な形で出現するクラスター状態を統一的に記述できる模型である。この重要な事実を指摘して解説するレビュー論文を書き上げてFrontier of Physics誌に投稿した。この研究計画のもう一つの柱であるクラスター構造の第一原理計算による研究も大きな成果を挙げて来た。今年度は、TOAMD(テンソル最適化AMD)理論に匹敵する新しい理論が開発され実行されたことが大きな成果である。新理論は2種類あって、HMAMD(高運動量AMD)とTO-HMAMD(テンソル最適化高運動量AMD)である。生の核力が惹き起こす短距離力相関とテンソル力相関をAMD波動関数からの粒子空孔対励起によって記述することが理論の中心となる。A=3,A=4の核に対して既に4編の原著論文が発表されている。また無限核物質に対する研究も進展し、既に2編の論文が発表された。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)
Physical Review C
巻: 99 ページ: 034311, pp.1-6
DOI: 10.1103/PhysRevC.99.034311
巻: 99 ページ: 024312, pp.1-12
DOI: 10.1103/PhysRevC.99.024312
巻: 98 ページ: 064002, pp.1-10
DOI: 10.1103/PhysRevC.98.064002
Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 2018 ページ: 011D01, pp.1-9
DOI: 10.1093/ptep/ptx192