強い相互作用の研究は、湯川博士のπ中間子理論、南部博士の自発的対称性の破れの概念の導入によって発展してきた。本研究は、強い相互作用のカイラル対称性が真空中では自発的に破れているが原子核中では部分的に回復する事を実証するという点で学術的に意義がある。さらに、有限なクォーク質量による明からさまなカイラル対称性の破れと、軸性量子異常と呼ばれる対称性の破れの効果も、原子核中の複数の中間子の性質を精密に研究することによって同時に明らかにしようとするものである。本研究では、複数の中間子の原子核中での新たな性質を知ることができた。この知見から強い相互作用の対称性に関する理解を進展させることができる。
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