研究課題
最終年度は以下のような研究を行った。1.前年度より行っていた、マグネターの超強磁場中におけるニュートリノ反ニュートリノ対生成に応用し、強磁場中性子星からの新しい冷却過程の研究を行った。ただ、当初非常に大きな寄与が得られるという計算結果であったが、計算制度を高める努力を行った結果、期待したほどの効果は得られなかった。しかし、今回のようなランダウ準位を含む量子論的に正しい理論計算は世界で初めてであり、今後の発展に続くものである。2.これまで中性子星の冷却過程として主に考えられていた、中性子がベータ崩壊を行って反ニュートリノを放出するDirect Urcaの超強磁場中での計算を行った。磁場のない場合では、陽子密度が中性子密度の1/8よりも大きい必要があり、近年の現実的状態方程式計算ではこの条件を満たさない可能性が高まっていた。しかし、磁場中では磁場から運動量が供給されこの条件を必要としない。今のところテスト計算の段階ではあるが、大きな効果が得られそうであるとの感触を得ている。ただし、ランダウ準位を伴う理論計算には種々問題があるので、その解決に努力している。3.強磁場中性子星内部で、ドーナッツ状の磁場、トロイダル磁場が発生する機構に関する研究を行った。4.近年、超強磁場から電子等のシンクロトロン運動で放出される光子が、軌道角運動量を持つ光子渦である可能性が指摘をされている。さらに、現在、ガンマ線領域の光子渦を生成する実験が国内国外で計画されている。そこで、コンプトン散乱による観測による渦ガンマ線を同定する方法を示し、論文発表を行った。さらに、これまで開発した理論手法を用いた、電子のランダウ準位間遷移により放出された光子が渦光子になっている可能性が高いことが分かったので、現在研究を進めているところである。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件)
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