研究課題/領域番号 |
16K05363
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
原田 融 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (70238187)
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研究分担者 |
平林 義治 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (60271714)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハイパー核 / ストレンジネス / チャネル結合 / 核反応 / 核構造 / スペクトル / 連続状態 / 理論核物理 |
研究実績の概要 |
強度陽子加速器施設(J-PARC)において展開されているハイパー核物理において, (π-,K+)反応で生成される中性子過剰ハイパー核の構造と反応機構を理論的に解明することを目的としている。特に,ハイパー核におけるΣ粒子の混合率(~数%)やΣN-ΛN結合による3体力の効果などをチャネル結合の計算から明らかにする。またJ-PARC実験のデータの予測・解析に有効な理論的手法を確立し,実験データの理論的解析を行う。さらに(K-, K+) 反応による中性子過剰なΞハイパー核の生成・崩壊スペクトルの理論計算へ展開する。当該年度の成果は以下の通りである: 1.6Liを標的核とする(π-,K+) 反応によるΣ領域のスペクトルを計算し,J-PARC E10実験データと比較して,Σ-5He核間ポテンシャルの性質を調べた。Σ-5He核間ポテンシャルの大きさの実部が+30MeVの斥力で虚部が-40MeVのとき,実験データのスペクトルをよく再現することが分かった。 2.原子核を標的とした(π-,K+) 反応では素過程π-p → K+Σ-の媒質効果が重要であるため,「最適フェルミ平均の方法」を適用してΣ生成断面積の角分布を求めた。角分布には強いエネルギー依存性が現れ,スペクトルを再現するためにはこの効果が不可欠であることが分かった。 3.ΞN有効相互作用から畳み込みポテンシャルとして,Ξ核間ポテンシャルを計算した。これを用いて,(a) J-PARCで計画されているΞ-原子準位のエネルギーシフトと幅を評価した。(b) (K-, K+) 反応による12Cを標的核とする中性子過剰なΞハイパー核の生成・崩壊スペクトルを計算し,J-PARC E05における実験データの理論解析を進める準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学術雑誌に,(π-,K+) 反応による中性子過剰ハイパー核6ΛHの理論解析の論文と,そのΣ生成領域のスペクトルの解析からΣ-5He核間ポテンシャルの性質に関する論文の2編が掲載された。しかしながら,Σ-5He核におけるクラスター模型の効果をさらに検討する必要になったため,p殻核の殻模型による系統的な研究が少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
継続して「多配位チャネルを結合したグリーン関数法」の拡張した計算コードの開発を進め, (π-,K+) 反応による中性子過剰核なハイパー核の核構造と生成機構の理解を目指す。具体的には,(a) 6Liのクラスター構造を考慮して、(π-,K+) 反応によるΣ励起状態の生成スペクトルの解析をさらに進める。(b) 中性子過剰ハイパー核10ΛLi および10ΣLi の生成・崩壊スペクトルの再検討を求める。(c) J-PARC で計画されている9Beや12C標的核による中性子過剰ハイパー核の生成・崩壊スペクトルを予測する。 また最終年度にあたるため,本研究課題の成果と到達点を取りまとめ,次への課題と問題点を整理する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 共同研究者との研究打ち合わせの開催日程が短くなったため、支出に若干の差額が生じた。 (使用計画) 研究打ち合わせのための旅費に充てる。
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