研究課題
平成30年度には、前年度に引き続き、CRIB装置において行ったAl-26アイソマービームの共鳴散乱実験の解析を進めた。ビーム中に含まれる核異性体(アイソマー)が、ビーム全体のうちどれだけの割合を占めるかの決定が、実験結果の解釈に重要であり、実験装置の詳細情報を取り込んだシミュレーションを実験中のアイソマー崩壊由来のγ線、β線の測定と比較し、アイソマー比の決定を行っている。前年度までにγ線とβ線の解析で若干異なる値が出るという問題が現れていたが、低いエネルギーのβ線を考慮したより詳細なシミュレーションを実行することによって、β線の検出効率が問題であることがほぼ明らかとなり、アイソマーはAl-26ビーム全体の50%前後であると矛盾なく理解された。また、共鳴散乱の解析コードを開発し、解析を進めることにより、Al-26の破壊反応を進める大きな共鳴の存在が確認された。これらの共鳴は、超新星などの高温天体現象において、Al-26原子核の破壊反応を増幅する役割を果たすため、Al-26の生成量問題の解決に寄与する可能性がある。残念ながら最終目的である天体核反応の評価と、Al-26の生成量問題の解決には至らなかったが、最終結果には着々と近づいており、遅くともこれから1年以内には結論が得られるよう、研究を進めている。更に、これまでの成果に関して、宇宙核物理の最重要会議の一つであるNIC-XVをはじめ、NN2018, ECT* Workshopなどの国際会議の場において、積極的に発表を行った。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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