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2017 年度 実施状況報告書

高線量下で動作するロバストで可搬なMeVオーダーγ線コンプトンカメラの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K05376
研究機関信州大学

研究代表者

長谷川 庸司  信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (70324225)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード放射線検出器
研究実績の概要

開発研究を行っているコンプトンカメラでは,コンプトン散乱事象での,散乱電子と散乱γ線のエネルギーと方向(散乱角度)を精度よく測定することが重要である。これらの測定はどちらも無機シンチレータ(Ce:GAGG)と半導体光検出器(PPD)の組み合わせで行う。読み出し回路については専用のASICでおこない、信号処理はSystem-on-a-chip(SOC)を備えたFPGAで行なう。
無機シンチレータからの信号を専用のASICでアナログ信号の増幅および、ディスクリミネータによるトリガー信号の生成を行う。ASICからの出力信号をanalog-to-digitalコンバータまたは、time-to-digitalコンバータによりデジタル信号に変換する。それらのデジタル信号をFPGAを用いて解析し事象を再構成する処理回路の検討を行った。専用ASICはPPDの信号に特化したものである。デジタル信号処理用のFPGAはFPGAとSOCを備えており、一つのチップで高速のデジタル信号処理と、ソフトウエアによる柔軟で高度な処理が実現できる。FPGAは速い処理が必要なトリガー信号の生成に用い、SOCでは、時間測定とエネルギー測定の結果から、事象の再構成や画像の生成を行なう。再構成では、散乱電子が発生した電離電子のガス増幅による信号と、散乱γ線の光電吸収による信号を分離するために、機械学習を用いた信号識別を用い、再構成の効率を向上できる。
信号読み出し回路は、EASEROCと呼ばれるPPD用専用ASICとADC、FPGAを備えた既存の装置を用いて信号処理の評価を行った。更に、SOCを備えたFPGAを用いて、デジタル信号を入力として、事象再構成と画像処理のためのファームウェア・ソフトウェアの開発を行った。事象再構成については、通常のPCによる処理結果と同じ性能が得られている。画像処理については、SOCはリソースが限られるため、改良が必要であることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度に引き続き、ガス増幅によるシンチレーション光の光量収率の改善を行っている。ガス増幅による光量が少ないとエネルギー測定、時間測定の精度が下がり、再構成の精度が下がってしまう。改善方法として、ガス電子増幅器とシンチレーションカウンタの配置の最適化を行っているが、未だ十分な光量が得られていない。原因は混合ガス中に含まれるクエンチガスによる影響と考えられる。配置の最適化のみでは限界があり、シンチレーション光の波長を変換する波長変換ガスの導入を検討している。

今後の研究の推進方策

第一に、シンチレーション光の光量収率の向上を目指す。検出器の配置、波長変換ガスの導入を更に検討する。その後、シンチレーションカウンタの読み出しチャンネル数を現在の8チャンネルから64チャンネルまで増やし,散乱γ線の検出範囲を拡大する。読み出し回路、信号処理回路については、既存の装置を用いて行った結果をもとに、コンプトンカメラに最適化された回路の設計・製作を行なう。また、回路を動作させるためのファームウェアとソフトウェアの開発を行う。

次年度使用額が生じた理由

低い光量収率の問題が解決でず、プロトタイプ容器の設計ができなかったため。また、読み出し回路とデータ処理回路については、当初の計画では、既存の評価回路を用いて行い、その後、プロトタイプ回路を作成する予定であったが、評価回路を用いた性能評価で予想された性能がまだ得られず、改良が必要なため、プロトタイプ回路の作製に至らず、次年度に作製を延期したため。次年度使用額は、平成30年度請求額と合わせて、与圧可能なプロトタイプ容器の製作、ガス電子増幅器の購入、他チャンネル化するためのシンチレータと光検出器(64チャンネル)の購入に使用する。

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公開日: 2018-12-17  

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