研究課題/領域番号 |
16K05384
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
今井 憲一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 客員研究員 (70025493)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハドロン / 電磁崩壊 / ハイペロン |
研究実績の概要 |
この研究の目的は、エキゾチックハドロンの候補であるL(1405)やXi(1690)などのハイペロンの構造を明らかにすべく、その電磁崩壊を測定するためのγ検出器の開発を行うことである。電磁崩壊は強い相互作用による崩壊に比べてその1%以下と考えられ、電磁崩壊を測定する上ではバックグラウンドが大きな問題となる。γ線の位置を測定することでこのバックグラウンドをどこまで抑えることができるかが測定の決め手となる。J-PARCでのこれらのハイペロン生成反応と崩壊のシミュレーションを行って、現在建設がほぼ終了したハイペロンスぺクトロメーター内のTime Projection Chamberの外壁に配置するγ線位置検出器の基本設計を完了した。1cm幅のシンチレーターホドスコープと1radiation lengthの鉛板の3層のサンドイッチ構造で、十分な検出効率(99%)とS/N比を得られるとの結論を得た。まずこの基本設計に沿った部分的なサイズのテスト用モヂュールを製作することにした。波長変換ファイバーとMPPC読み出しを用いたテスト用のγ線位置検出器の基本設計を行い、MPPCなどの必要部品の調達を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的のハイペロンの生成および電磁崩壊については、よくわかっていないので、理論的な検討がそのシミュレーションには必要である。それらの検討に時間がかかった。しかし最終的にはそれらの不定性を十分考慮して基本的なγ検出器のパラメーターを決めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
γ検出器の基本的パラメーターを決めたので、29年度はそれに従ってテスト用の検出器を製作する。まず放射線源を用いて、シンチレーターホドスコープの厚さを中心に最適化をはかる。その後東北大学の電子加速器施設で実際のγ線ビームを用いてテスト実験を行い、検出器の最適化を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、理論的検討とシミュレーションに時間がかかり、テスト用のγ線検出器を設計するところまでしかできず、その製作は29年度になった。そのため28年度予定していた予算を一部29年度に執行する必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度は、テスト用γ線位置検出器を製作する。28年度の残りと29年度の予算の大部分を使ってテスト用γ線位置検出器を製作する計画である。
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