本研究は、SoC搭載型FPGAの素粒子実験への有効活用を目指した調査研究である。 SoC素子として、Xilinx社のZynq-7000シリーズを候補とし、当FPGAを搭載した評価キットとFMC接続ボードを用いて基本性能評価を行った。平行して開発ツールソフトウエア等の開発環境の整備も行われた。FPGAの基本性能としての高速シリアル通信、基本ロジック部分の動作周波数などの性能を測定、CPU部分としてはその基本動作、周波数や入出力などの性能を評価した。Gigabit EthernetやUSB、DDR、SDカード等の外部メモリインターフェースのパフォーマンスを確認した。また、Linux OSを用いたソフトウエア環境を構築し今後の汎用モジュール設計のベースとすることが出来た。FPGAとCPUを接続する部分に関しては、標準的なCPUインターフェースを実装し、Linux上のソフトウエアからのアクセス性能について各種実測データを取得することが出来た。合わせてネットワーク経由での遠隔からのシステム起動の手順の確立などを実証することが出来た。 これらを踏まえて、素粒子実験装置への応用を念頭に色々な性能試験に対応できるように各種必要IOインターフェースの選定を行った。また、より広範囲な試験にも対応できるようにFMCを用いた子ボードの接続も可能としそのインターフェース仕様も決めた。VME規格に準拠したZynq FPGAを搭載した汎用モジュールの回路設計を行い、基板設計、実機製造まで完成させることが出来た。ハードウエアとしての基本動作試験は終了し、今後、ソフトウエアも込み総合性能評価を行い、更には、素粒子実験測定器の応用を目指した実証試験を進めて行く予定である。
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