さまざまな物質におけるコヒーレントフォノンの生成・観測過程について理論研究を行った。とくにn型GaAs単結晶において相対位相ロック2連パルス励起法で測定された、フォノン振動強度の遅延時間依存性に見られる電子状態由来の干渉縞とフォノン由来の干渉縞のパターンが、同一の終状態に至る二つの量子遷移経路間の干渉(干渉縞同志の干渉)に起因するものであることを示した。さらに、その特異な形状からGaAs結晶においては、バンド端より上の励起エネルギーにも関わらずコヒーレントフォノン生成機構としては、これまで考えられてきた瞬間的光吸収ではなく、瞬間的誘導ラマン過程が支配的であることを初めて明らかにした。
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