研究課題
コヒーレントフォノンはフォノンダイナミクスを実験的に直接計測する方法として、半金属、半導体、超伝導物質など多くの物性研究に用いられている。しかし、複数の機構の混在が理論的に示唆されるなどコヒーレントフォノンの生成機構については、理論的にも実験的にも明確にはなっていないのが現状である。本研究では、コヒーレントフォノンの位相情報に着目し、これまでコヒーレントフォノン計測に用いられてきたフェムト秒過渡反射率測定法を拡張した新たな測定法の開発として複素誘電率変化の直接的測定を目指した白色干渉法を用いた位相差計測法の開発と、測定データを理論的に再構築することで、コヒーレントフォノン生成過程を実験的に明らかにすることを目的とし研究を進めた。特に、瞬間誘導ラマン散乱によるコヒーレントフォノン生成および検出方法に関する理論の構築を進め、位相推定法の観点から理論と測定の対応関係を明らかにするためダブルフォノン励起パルス制御によるコヒーレントフォノン信号変調の検証を行った。これにより、構築した理論モデルによりコヒーレントフォノンの位相および振幅の制御性が良く説明されることが明らかになった。しかし、研究を進めていく過程で、いつ、どのように位相が揃っていくミクロな素過程があるのか、コヒーレントフォノン生成の初期過程にアプローチするには、精密なフォノン励起パルス照射タイミング制御および、フォノン信号観測までの初期応答内の情報を得るためのさらなる測定技法の開発が課題であることが明らかになってきた。本研究課題で得た知見をもとに、今後、フォノン生成初期過程に着目した実験的および理論的研究への展開を計画している。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
Scientific Reports
巻: 8 ページ: 9609-1-9
https://doi.org/10.1038/s41598-018-27734-1