S = 1/2反強磁性ダイマーからなるスピンギャップ系物質KCuCl3において観測される、基底一重項から三重項への直接遷移が、スピンカレント機構を起源とするエレクトロマグノン励起である可能性について検証した。検証には自ら開発したTHz領域における周波数掃引型ESR装置を用いた。一重項から三重項のSz = 0への励起(平行モード)を観測することに成功した。本励起は、励起エネルギーが磁場に依らず一定であるため、周波数掃引型ESRにより初めて観測されるものである。そしてこの励起は、系の選択則を検討した結果、スピンカレント機構を起源とするエレクトロマグノン励起であると結論した。
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