研究課題
本研究の目的は、これまで多彩な強相関電子系の舞台として多くの研究がなされてきた希土類(R)六ホウ化物RB6および十二ホウ化物RB12で、未だ作成されていない空白の化合物を、超高圧合成の手法により創り出し、新規の強相関物性を見出すことである。特に注目されるのは、重い電子系、価数揺動、多極子秩序、近藤半導体、超伝導であり、近年ではトポロジカル物性等も期待される。具体的にはCeB12、PrB12、TmB6が開発目標である。また常圧下で作成されているトポロジカル近藤半導体であるYbB12に、Ca2価イオン置換が可能であるか、その物性はどのようなものかを明らかにする。RB12はこれまでRが3価もしくは4価のものしか見出されておらず、いずれも金属的性質を示す。2価のCaB12が存在すれば電気伝導的には絶縁体と予想される。置換系ではキャリア伝導を担うキャリアが減っていくので近藤半導体状態がどのような影響を受けるかは極めて興味深いテーマである。このため、当該研究では茨城大学に設置したドイツ製の最大1000トン荷重可能な高圧発生装置を駆使して物質開発に取り組んだ。3年間で最高発生圧力を当初の14GPaから30年度では20GPaまで更新に成功した。それにより(1)SmB12の創成条件確立、(2)近藤半導体Yb1-xCaxB12作製(最大x=0.3)、(3)Tm1-xCaxB6(最大x=0.4)作製に成功した。これらの成果は物理学会、国際シンポジウム、論文で発表した。(4)Y1-xCexB12やY1-xPrxB12の作製(最大x=0.1)成功でCeB12、PrB12作製には30~40GPaの圧力が必要ということがわかった。圧力の上昇はアンビルサイズの適正縮小化により達成可能で、現在25GPaまで発生可能となった。この技術開発によりCeB12,PrB12を開発に目途が立った。
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