| 研究課題/領域番号 |
16K05441
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| 研究機関 | 富山大学 |
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研究代表者 |
桑井 智彦 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (10251878)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 熱電能 / 極低温 / 比熱 / 純良大型単結晶 / 1-2-20系 / La希釈系 |
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| 研究実績の概要 |
本年度は（１）前年度に構築したADR冷凍機を用いた簡便型の極低温比熱測定・熱電能測定システムを用いて，同じく前年度より育成を継続しているRTr2Al2（R：プラセオジムPr,サマリウムSmなどの希土類元素；Tr：遷移金属元素）およびランタン（La）のRサイト希釈系の大型単結晶・多結晶試料の極低温熱電・熱特性を調べつつ，（２）新しい1-2-20系の試料の探索を行い，かつ（３）強磁場中の熱電能測定システムを構築することを目標に掲げ，研究を進めた。
（１）については，手許に得た約４０個の単・多結晶試料の比熱・熱電能測定を行った。結果を日本物理学会秋季大会や同学会北陸支部定例学術講演会において発表した。
（２）についてはこれまで報告のないPrMo2Al20の良質な多結晶試料，およびそれを用いて育成された大型の単結晶試料における基礎物性を調べることができ，現在論文投稿準備中にある。また，さらに同じく試料作製報告のないSmNb2Al20の多結晶試料の作製にほぼ成功し上述の学会において報告を行った。また，SmTr2Al20（Tr=V,Nb,Ta)のLa希釈系のSm10 %以下の希薄な組成の1 K以下での異常な熱電・熱特性を見出し，これについても間もなく論文投稿できる見込みである。加えて，これまで共に研究をしてきた共同研究者が育成に成功したSmTr2Sn2Zn18の未報告のTrの物質も育成に着手した。
（３）については，まず測定手法が類似し，さらに比較的にその構造が簡単な磁場中比熱測定測定系を構築して80,000エルステッドの磁場を備えている，既存の希釈冷凍機に組み込んで測定を実施し，信頼性を確認した後に強磁場中熱電能測定系を構築することに計画を若干変更した。比熱測定系は製作完了し，確認実験を行う準備がほぼできた。これを早期に完了し，現在制作中の熱電能測定系の完成を急ぐ。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも述べているが，本研究の主要目標は簡便型の熱電・熱物性測定系の構築と純良大型単・多結晶試料を用いての1-20系における極低温異常物性のメカニズムの実験的解明であるが，当初計画において目標と掲げた三項目は滞りない進展が認められる。特に（１）と（２）においては想定した目標についての予想をむしろ上回る実績を得た。その中のいくつかの結果は論文投稿できる段階にきていると思われる。
一方で，（３）については当初計画より，研究の幅を広げるために途中で計画に若干の変更を加えたため，当初の計画よりわずかに進展が遅れている。しかしながら，研究の幅をより広げるための遅れであり，これについては次年度の早い時期に挽回できると見込んでいる。
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| 今後の研究の推進方策 |
研究自体は無論その後も続くこととなるが，採択の最終年度となる平成３０年度末までに研究の一区切りをつけるべく研究を推進する。これまでに作製した純良大型単結晶，あるいは多結晶試料の熱電物性の測定を継続し，研究成果の量産を図る。特に国内外の他の研究グループが研究を進展できていないPrMo2Al20，SmNb2Al20，SmMo2Al20の基礎物性の論文発表を急ぎ，結果をまとめる。また，本年度研究を着手し，育成に成功しているツリウム(Tm)を含む新物質Tm6Tr4Al43（Tr=Mo,W)などの基礎物性測定を進めることを計画している。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初計画に若干の使途変更があったため，単純に差額が生じたものである。わずかな額であるので翌年度分としての請求は手続きしていない。
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