鉄系超伝導体においては相図の一部の領域において、磁気秩序と超伝導が共存する領域が存在することが知られているが、一般に、超伝導は磁場により消失する性質があるため、その共存状態の描像に興味がもたれていた。本研究では、新たに開発した核共鳴小角散乱の手法と、メスバウアー分光を用いて、その描像の解明を行った。本研究により、共存状態において、数~数十ナノメートルのサイズの領域において、特徴的なサイズの微細構造が観測されなかった。このことから、ミクロな相分離が生じているとしても、ある特定のサイズの相分離が生じているわけではなく、複雑なサイズの共存状態が実現していることを示唆する結果が得られた。
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