研究課題/領域番号 |
16K05453
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
仲間 隆男 琉球大学, 理学部, 教授 (80264472)
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研究分担者 |
大貫 惇睦 琉球大学, 理学部, 客員教授 (40118659)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 3d遷移金属化合物 / 電子輸送特性 / 電子相関 / フェルミ面 / 超伝導 |
研究実績の概要 |
本研究では,主としてコバルトの3d遷移金属化合物について純良単結晶の育成,磁性および輸送特性とフェルミ面の特性を明らかにすることを目的としている.これまで報告してきたパイライト化合物CoS2, NiS2および混晶系Co(S,Se)2に加え,本年度はパイライト型構造のCuS2およびCuSe2について純良単結晶を高圧力下で育成し,そのドハース・ファンアルフェン効果を測定した.これらの化合物は転移温度がそれぞれ1.5Kおよび2.5Kの超伝導体であることが知られている.得られた結果はバンド計算と翌一致することがわかった. また,鉄の化合物FeSnおよびFeSn2の純良単結晶を育成した.FeSnとFeSn2はネール点がそれぞれ370Kと378Kの反強磁性体である.これらの化合物について,電気抵抗およびドハース・ファンアルフェン効果等を測定し,その物性とフェルミ面の特性を明らかにした.また,EuCo2P2やEuCo2Ge2などの関連する希土類化合物についても,純良単結晶試料を育成し,電気抵抗,熱電能,比熱,磁化率,磁化およびドハース・ファンアルフェン効果等を測定してその物性を明らかにした.さらに,これらの化合物の量子臨界点近傍の物性を明らかにするためピストンシリンダーを用いて圧力中の電気抵抗測定および熱電能測定も行った.電気抵抗についてはキュービックアンビル高圧力装置で8GPaまでの高圧力中での測定も行った. これらの成果は,研究発表で示したとおり論文としてまとめ報告しまた学会で発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RCo2P2化合物(R=La, Sr, Ca, Eu)についてNMR測定を行いその結果を論文および学会等で発表した.また,LaCo2P2およびCaCo2P2については圧力中のNMR測定が行われた.パイライト化合物については,CuS2とCuSe2のドハース・ファンアルフェン効果の測定を行いその結果を学会発表した. また,3d遷移金属Feの化合物でネール点が370 Kの反強磁性体のFeSnおよび非常に大きな磁気抵抗を示すFnSn2について純良単結晶の育成を行った.また,これらの化合物についてドハース・ファンアルフェン効果の測定も行い,フェルミ面の性質についても報告を行った.
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今後の研究の推進方策 |
これまで研究を行ってきたパイライト化合物などに加え,反転対称性を持たないFeSi型結晶構造の遷移金属化合物のフェルミ面を明らかにするためRuSiなどの純良単結晶を育成し,ドハース・ファンアルフェン効果の測定からそのフェルミ面の性質を明らかにする.また,これらの遷移金属化合物について強磁場中あるいは高圧力中の輸送特性の測定を行い,量子臨界点近傍の電子状態を明らかにしたい.さらに,関連するコバルト化合物についても純良単結晶育成を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 計画していた実験用寒剤の支払いが来年度になったことと参加予定であった国際会議に参加しなかったことが次年度使用額が生じた理由である. (使用計画) 実験用寒剤の支払いをするとともに,今年度は国際会議,国内学会等に研究協力者と参加する予定である.さらに,今年度の実験用の材料費,寒剤費として使用する予定である.
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