研究課題
本研究では,主としてコバルトなどの3d遷移金属を含む化合物の純良単結晶育成,磁性および電子輸送特性とフェルミ面の性質を明らかにすることを目的として研究を行っている.本年度は,これまで行ってきたパイライト化合物CuS2およびCuSe2の超伝導とフェルミ面について研究をつづけ,またFeSnとFeSn2および関連物質のCoSnについても純良単結晶育成をおこない,電気抵抗率,磁化率および磁化測定を行いその物性を明らかにしてきた.また,ドハース・ファンアルフェン効果の測定を行いそれらのフェルミ面がバンド計算結果でよく説明されることを報告した.さらに希土類金属化合物EuT2Ge(Si)2,EuTGe(Si)3化合物およびウルマナイト化合物であるEuPtSiについても,純良単結晶育成を行いその電気抵抗率,磁化率,磁化,比熱等の測定を行いそれらの化合物の物性を明らかにしてきた.その結果,EuCu2Ge中のGeのSi置換にともない反強磁性秩序温度(ネール点)が減少し,ある臨界濃度で消失することが明らかにした.また,この効果がEuCu2Ge2に圧力を加えることと同じであること報告し,ネール点の連続的な減少消失が格子の変化によるものであることを報告した.加えて他の化合物についても,量子臨界点近傍の物性を明らかにすることを目的にピストンシリンダーおよびキュービックアンビルセルを用いて高圧力下の電気抵抗測定を行った.これらの成果は,以下で示すように学会発表を行い論文としてまとめて報告した.
2: おおむね順調に進展している
前年度に引き続き研究を行ったパイライト化合物CuS2およびCuSe2についてその成果を学会発表を行いまた論文としてまとめて報告した.また,FeSnおよびCoSnについても電気抵抗,磁化率,比熱,およびドハース・ファンアルフェン効果の測定を行いその物性を明らかにし論文発表を行った.さらに,3d遷移金属化合物であるMnPおよびMn2PとFe2Pについても単結晶試料の育成を行い学会発表を行ったところである.さらに,こらから詳細を明らかする予定である.
これまで研究を行ってきたパイライト化合物などに加え,反転対称性を持たないFeSi型結晶構造の遷移金属化合物のフェルミ面を明らかにするため純良単結晶を育成し,ドハース・ファンアルフェン効果の測定からそのフェルミ面の性質を明らかにする.また,現在研究を行っているMnPおよびMn2Pについてこれらの遷移金属化合物について強磁場中あるい は高圧力中の輸送特性の測定を行い,量子臨界点近傍の電子状態を明らかにしたい.さらに,関連する3d遷移金属化合物についても純良単結晶育成を試みる.
理由:計画していた測定装置に使用する部品等の作製が遅れたことが大きな理由である.また,実験用寒剤の使用量が予定より少なくなった.使用予定:実験要の部品の作製を行うとともに次年度は測定用材料の購入も考えている.また,国際会議への参加を予定している.
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 1件、 査読あり 16件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件)
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