研究課題
層状超伝導体 RO(1-x)FxBi2 (R:希土類、アクチノイド元素)およびEu3Bi2S4F4について単結晶育成を行い、それらを用いた基礎物性測定、光電子分光測定、放射光施設を用いた構造解析実験を行った。主要な研究成果を以下にまとめる。(1) 前年度までの研究で、La(O1-xFx)BiS2 (x < 0.1) の低温X線回折実験において発見された超格子反射について、さらなる回折実験と解析を共同研究によりすすめた結果、4回対称性を保持したダブル-q構造を持つ構造をとっている可能性が高く、BiS2層の面内にあるSが変調構造をとっていることが分かってきた。Biの価数評価から、価数においても変調がかかっていることが確かめられることから、CDW転移を強く示唆する結果である可能性が高い。この成果は、BiS2系化合物全体の超伝導相発現に関わる重要な発見と考えられる。(2) アクチノイド元素を含む新たなBiS2系超伝導体として、(La1-xUx)OBiSSeの合成を、東北大学金属材料研究所の共同利用研究制度を利用して行った。その結果、多結晶試料の合成に成功し、x=0.3において、転移温度約 T= 3 K のバルクの超伝導を示すことを世界で初めて確認した。(3) 前年度までの研究で、EuFBiS2において大きな磁気抵抗効果が観測されることを明らかにしていたが、同じくEu系のBiS2系化合物であるEu3Bi2S4F4においても、大きな磁気抵抗効果を示すことを初めて明らかにした。この巨大磁気抵抗効果は、Euの磁化と密接な相関を持つことが解析から明らかになり、加えて、Euの価数状態とも関係していると考えられ、巨大磁気抵抗効果を生み出す新たなメカニズムが内在する可能性を示唆する結果である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 4件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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