研究課題
〇 最終年度の成果価数揺動物質YbPdについて、25T超伝導磁石(東北大学金属材料研究所)を用いた強磁場下Pd-核磁気共鳴(NMR)測定を行い、価数秩序を伴う構造相転近傍で低エネルギー揺らぎの増強を観測し、フェルミ面と価数相関に関する2つの不安定性の協力現象が相転移機構となっていることを明らかにした。成果はcond-matに掲載し、近くPhys. Rev. B誌に投稿予定、さらに国際会議SCES2019にて報告予定。重い電子状態と反強四極子秩序が共存するCeB6で初めてB-核四重極測定に続き、0.1T以下の超弱磁場下B-NMR測定に成功した。その結果、ゼロ磁場下では磁場中反強四極子秩序構造とは異なる状態にあることを示した。価数揺動物質Sm化合物SmSが示す高圧下で示す非磁性半導体-磁性金属転移近傍において4f電子状態の詳細をS-核磁気共鳴(NMR)測定によって調べるため、33S濃縮試料に3GPaの圧力印加を行い、NMR信号観測に成功した(現在実験が進行中)。同様に圧力誘起の非磁性半導体-磁性金属転移を示す関連物質SmB6についてSm価数の温度-圧力依存性の詳細を測定し、価数揺らぎの二重性を示した報告がPhys. Rev. B誌 Rapid communicationsに掲載された。〇 研究期間全体を通じた成果SmB6においてSmを非磁性元素Laによって置換した試料をB-,La-NMR測定によって調べ、90%置換試料でも明瞭な半導体的性質が観測されたことから、SmB6におけるf電子と伝導電子の混成は局所的に形成されることを明らかにした。また、YbXCu4(X=Cu,Ag)においてX(4c)とCu(16e)サイトのNMR測定結果を比較した結果、重い電子形成の特徴的な温度に明瞭な差があり、重い電子形成過程に2系統が存在することを明らかにした(共に現在論文投稿準備中)。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
arXiv Condensed Matter
巻: なし ページ: 1902.06367
Phys. Rev. B
巻: 97 ページ: 161116(R)-1-5
https://doi.org/10.1103/PhysRevB.97.161116
http://www.sci.u-hyogo.ac.jp/material/electro_phys/index-j.html