研究課題
申請代表者が開発した10GPa級静水圧下磁化測定用圧力セルを用いて、ウラン系強磁性超伝導物質UGe_2の高圧下磁化測定を行った。「スピンゆらぎ理論」を用いて磁化データの解析し、動的磁性に関して研究を行った。その結果、スピンの揺らぎ特性温度T_0がUGe_2の高圧相FM1、FM2の相境界近辺で異常な振る舞いを示し、T_0の圧力依存が超伝導転移温度T_scのそれとスケールすることが明らかにされた。これはUGe_2の超伝導と強磁性揺らぎの強い相関を示すものである。今後より詳細に測定を進め、強磁性超伝導と強磁性ゆらぎのエネルギースケールについて定量的観点から調査を進める。また、一軸圧力下磁化測定用圧力セルが完成し、常磁性物質UCoAlについて実験を行った。一軸圧力が誘起する強磁性状態を観測し、その基本的な磁気特性に関するパラメーターが決定された。現在、その動的特性について調査中である。
2: おおむね順調に進展している
ウラン系強磁性超伝導物質UGe_2について強磁性と超伝導の相関を動的磁性の観点から明らかにすることができた。また一軸加圧型セルも完成してUCoAlの研究が進行中である。
1.UGe_2の研究をさらに進める。「超伝導が現れる特異な強磁性状態」に視点を置き、「スピンゆらぎ理論」を用いた磁化データの解析を行う。平成29年度の明らかにされた超伝導出現と動的磁性の対応関係についてより詳細な調査を行う。超伝導出現と磁気ゆらぎの相関が指摘されてきた銅酸化物超伝導や希土類重い電子系化合物と比較する。ウラン系強磁性超伝導物質の磁気ゆらぎと超伝導の関係について、その特異性を明らかにする。2. 常磁性物質UCoAlの一軸圧力が誘起する強磁性状態について研究を進める。温度ー磁場ー圧力相図において強磁性転移温度が形成する"wing structure"に着目し、強磁性相境界で発達する強磁性ゆらぎとその特異な電子状態の関係を明らかにする。
静水圧下磁化測定用圧力セルの仕様変更を一部計画したため、次年度使用額が生じることとなった。平成30年度に関係する部品を購入する費用として使用する。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 6件、 査読あり 8件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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