研究実績の概要 |
前年度に引き続き、周期ポテンシャル中の量子多粒子系のホール伝導度について研究を進め、論文をまとめた。[Y.-M. Lu, Y. Ran, and M. O., arXiv:1705.09298] 主要な結果として、単位胞あたりの磁場、単位胞あたりの粒子数、ホール伝導度、(トポロジカル秩序系における)背景エニオン電荷、の間に成立する普遍的な関係を導いた。 また、前年度に出版した論文[S. C. Furuya and M. O., Phys. Rev. Lett. 118, 021601 (2017).]におけるSU(2)量子スピン鎖における量子異常の議論を、より系統的に1次元のSU(N)スピン鎖に適用した研究をYuan Yao氏およびChang-Tse Hsieh氏と共同で取り組んだ。その結果、SU(N)対称性を持つ1次元の量子相がt' Hooft量子異常によって特徴づけられることがわかった。これは、単にSU(2)をSU(N)に一般化しただけではなく、量子異常の量子多体系への応用について新たな観点を導入し、これまでSU(N)スピン鎖について得られていた部分的な知見をまとめるとともに拡張するものである。この成果については論文を準備中であり、近日中に発表する。 また、エンタングルメントを含め多くの問題に適用可能な、スペクトルからハミルトニアンを機械学習によって推定する手法を開発し、論文を出版した。特に、1次元ハバード模型の低エネルギースピン有効模型を非常に高い精度で導くことができることを示した。 さらに、量子スピン系の基底状態をSz基底で展開した係数に関するShannon-Renyiエントロピーのスケーリングに関する研究、および、多粒子系における量子統計と基底状態エネルギーの関係に関する詳細な研究をまとめ、論文を出版した。
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