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2018 年度 実施状況報告書

不純物が結晶成長へ及ぼす効果-不純物が動くと何が変わるのか-

研究課題

研究課題/領域番号 16K05470
研究機関金沢大学

研究代表者

佐藤 正英  金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (20306533)

研究分担者 鈴木 良尚  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (60325248)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードステップ / バンチング / 不純物
研究実績の概要

本研究課題では理論家と実験家で研究グループを形成し,結晶成長時の不純物の効果について研究している。本研究では理論的研究部分において少し進捗状況が遅れた。理論的研究については,初年度に開発した非SOS型ステップモデルを用いてシミュレーションを行い,不純物と吸着原子の両方の蒸発を取り入れた場合についてシミュレーションを行った。
不純物と吸着原子の両方の蒸発を無視した場合と同様に,不純物と吸着原子の入射頻度を一定に保った条件では,低過飽和度条件でバンチングが起こることが分かった。また,低過飽和度付近においては,ステップの不純物の前進速度が非常に遅くなることがわかった。これは吸着原子の蒸発があることで起きることであることが分かった。低過飽和度条件では,バンチングが起きることで,結晶表面上の不純物量も高過飽和度時に比較して増加する。しかし,結晶に取り込まれる不純物の量は過飽和度の減少により一旦増加するものの,入射頻度が平衡入射頻度に近づくと再度減少し始める。これらは束のサイズ(何本のステップからなる束ができるか)を考慮すること説明できることが分かった。これらの結果については,Physical Review E 誌に報告した。
ただ,代表者がこれまで調べてきたバンチングとはことなり,ステップ束と単独ステップの衝突・離脱現象は起きない。ここまでは明らかにしたいと思ったか期間内では修了できなかったので,期間の延長を行い取り組むこととした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度にはまず,SOSモデルでステップの挙動における不純物の効果を調べ,その後に非SOSモデルを開発してシミュレーションをすることを考えていた。しかし,SOSモデルでの取り扱いが適切ではないのであきらめて,非SOSモデルのみで研究を進めている。この初年度の計画変更が全体としては遅れてしまった。
本研究で構築したモデル,問題設定においては不純物により形成されるステップ束は強く束縛されたものであり,これまでに代表者が調べていたバンチングにおいてしばしば見られたステップ束と単独ステップの衝突や離脱はみられなかった。本研究においては,この理由までは明らかにしたいと考えており,期間を一年延長することとした。

今後の研究の推進方策

本研究で構築したモデル,問題設定においては不純物により形成されるステップ束は強く束縛されたものであり,これまでに代表者が調べていたバンチングにおいてしばしば見られたステップ束と単独ステップの衝突や離脱はみられなかった。このバンチングがモデルのどの要素により起きることなのかを明らかにすることは,実験との比較を行う上で非常に重要であると考える。本研究においては,この理由までは明らかにしたいと考えている。そこで本来は最終年度であるところ期間を一年延長し研究を継続することとした。
現状では,今までのモデルで無視していた不純物の表面拡散が非常に重要ではないかと考えている。この点を考慮したモデルを構築してシミュレーションを行っている。

次年度使用額が生じた理由

本研究で得られたステップ束は強く束縛された束のみであった。当初その理由を明らかにしたうえで,国際会議IWMCG-9で発表予定であったが,進捗状況が思わしくなく発表を取りやめた。そのため,一年の期間延長をおこなった。現在,研究の方向性については目途が立ったので,得られた結果をもとにICCG-V(結晶成長国際会議)で発表する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Effect of evaporation on step bunching induced by impurities2018

    • 著者名/発表者名
      Sato Masahide
    • 雑誌名

      Physical Review E

      巻: 97 ページ: 062801-1~8

    • DOI

      10.1103/PhysRevE.97.062801

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Two-dimensional structures formed in a binary system of DNA nanoparticles with a short-range interaction potential2018

    • 著者名/発表者名
      Sato Masahide
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 57 ページ: 125002-1~5

    • DOI

      doi.org/10.7567/JJAP.57.125002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Self-Assembly of Two-Dimensional Patchy Colloidal Dumbbells2018

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Kanji、Sato Masahide
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 87 ページ: 064601-1~4

    • DOI

      10.7566/JPSJ.87.064601

    • 査読あり
  • [学会発表] 吸着原子の蒸発があるときの不純物によるステップ束形成2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤正英
    • 学会等名
      第47回結晶成長国内会議
  • [学会発表] 不純物による微斜面上のステップの不安定化-不純物と吸着原子の蒸発の効果-2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤正英
    • 学会等名
      日本物理学会2018年秋季大会

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公開日: 2019-12-27  

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