| 研究課題/領域番号 |
16K05484
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| 研究機関 | 日本大学 |
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研究代表者 |
鈴木 徳一 日本大学, 理工学部, 教授 (60246824)
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| 研究分担者 |
阿部 純義 三重大学, 工学研究科, 教授 (70184215)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 複雑系科学 / 火山性群発地震 / 複雑ネットワーク |
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| 研究実績の概要 |
研究計画の２年目である２９年度は、火山が噴火に向かう過程で生じる群発地震をカタストロフ複雑系現象としてとらえる研究を進めた。
火山性群発地震は、一般に火山の噴火中のみならず、火山の噴火前にも多く観測される。火山性群発地震は、マグマチェンバーにあるマグマが、地表に向け上昇を起こす過程で岩石を破壊しながら貫入していくプロセスで起きると考えられている。その過程には、火山の地下の地殻のストレス分布やポーラス媒質中の水の輸送現象も深く関わってくる。この意味で、火山性群発地震は、複雑なアーキテクチャ上の複雑なダイナミクスに関わる現象である。
火山性群発地震のデータは、火山内部の状態をリアルタイムで我々に知らせてくれる。このデータからいかにして有用な情報を抽出するかが課題となる。噴火予測が困難な大きな理由のひとつは、多くの火山性群発地震が観測されたからといって、必ずしも噴火に至らず、地震活動が終息に向かうケースがあることである。このように火山性群発地震の単位時間あたりの地震数の情報だけでは、一般に噴火が予知できない。我々は、群発地震のデータから抽出した時空間情報を複雑ネットワークに写像し、その幾何学的構造の推移を追跡した。その結果、ネットワークの幾何学的構造に、噴火に至る場合のみ、特徴的な変化が起こることがわかった。同時に、この振る舞いには、火山からの噴出物の量をもとに分類される火山の爆発規模を示す火山爆発指数や、噴出する溶岩の物性も深く関わることがわかってきた。この成果について現在論文執筆を進めており、Open Access 誌に出版する予定である。
並行して年度の後半には、通常の地震活動において地震現象の力学系的性質及びネットワーク構造に関する研究に取り組み、いくつかの一定の成果を得てきている。これらの研究を通して、複雑系科学に基づく火山性地震と通常の地震の統一的理解を目指している。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
２９年度の主題のひとつは、火山が噴火に向かう過程で生じる群発地震をカタストロフ複雑系現象としてとらえる研究を完成させることであった。
すでに、年度の初めに、群発地震の複雑ネットワーク構造が噴火に向かう過程で示す特徴的な振る舞いがあることを捉えており、論文執筆にとりかかっていた。しかしながら、研究結果を詰める最終段階で、当初想定していなかったことであったが、火山爆発指数（火山からの噴出物の量をもとに火山の噴火規模を分類した国際基準）や溶岩の物性といった物理量が結果に深く関わることがわかってきた。そのため、火山の研究対象を広げ、これらの物理的性質と合わせて詳細な研究を行う必要がでてきた。現在、この点も解明され、再び、論文執筆をつづけている。また、これまでに得た成果の一部を国際会議で発表した。
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| 今後の研究の推進方策 |
２８、２９年度で進めた火山の噴火に向かう過程での複雑ネットワーク構造の特徴的変化に関する研究論文を仕上げOpen Access 誌に出版する。
火山研究を通じてわかってきたことの一つに、火山性地震と、通常の地震活動に多くの共通の普遍的性質がみられることである。今後は、火山性地震の研究で得られた知見を通常の地震研究に活かすことを考えている。すでに進行中の地震現象の力学系的性質及びネットワーク構造に関する研究は、地震活動の遠隔地域間相関の普遍的及び非普遍的相関概念の分離の問題にも生かせる可能性がある。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
平成２９年度の研究成果を年度内にOpen Access 誌にて発表する計画であった。研究の最終段階で予想外の新たな進展があり、執筆が年度をまたがることになったため、出版費用として次年度使用額が生じた。
代表者及び分担者は、互いの研究室を訪問し頻繁に研究打ち合わせの機会をもつ。そのための旅費が必要である。本研究の成果に関しては、物理学研究者のみならず地震研究者の注目も喚起したいので、現在執筆中の論文をOpen Access 誌へ出版する予定であり、その費用が必要となる。
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