研究課題/領域番号 |
16K05491
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
氷上 忍 沖縄科学技術大学院大学, 数理理論物理学ユニット, 教授 (30093298)
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研究分担者 |
島田 悠彦 沖縄科学技術大学院大学, 数理理論物理学ユニット, 研究員 (20751192)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 共形場理論 / 臨界指数 |
研究実績の概要 |
共形場ブートストラップの方法をYang-Lee edge singularity、高分子及び枝分かれ高分子、及びランダム磁場下のイジング模型の3問題に適用し、臨界指数を数値的に求めた。Yang-Lee edge singularityでは1次元から6次元まで臨界指数を3x3,4x4の小行列の計算から求めた。特に臨界指数が0となる空間次元に注目し、数値的にその空間次元を求めた。その場合には、対数的共形場が現れると予想し、その振る舞いを調べた。(arXiv:1707.04813). 高分子及び枝分かれ高分子では、中心電荷cが0となるので、そのカタストロフィーを除くために、作用素の縮退を考慮し、臨界指数を数値的に求めた。枝分かれ高分子はD-2次元のyang-Lee modelとその臨界指数が一致することが知られているが共形場ブートストラップの方法でこのdimensional reductionが見られるか、調べてみた。結果は数値的範囲で成り立つことが見て取れた。また超対称性の条件が満たされていることを確認した。(arXiv:1708.03072.) ランダム磁場がある場合、6次元からのエプシロン展開では臨界指数が4次元からのイジング模型と一致していてdimensional reductionが成り立っているように思えるが、このdimensional reductionは低次元では成り立たないことが厳密に示されている。どこの次元から成り立たなくなるのか興味が持たれて様々な方法で研究されている。 共形場ブートストラップの方法をこの問題に適用して成り立たなくなる次元を求めてみた。D=5次元で3次元イジングの値からずれることを見つけた。(arXiv:1801.09052). 分担者の島田悠彦はポアンカレー円盤の共形場振幅についての研究を行い、国際会議での発表を行った。J. Phys.: Conf. Ser. 965 (2018) 012036。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超対称性に関連した臨界現象の3つの模型に関して共形場ブートストラップの方法を適用できた。これらの問題はnon unitaryの共形場理論に属し、行列式の方法が有効であることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
現在は3x3行列式の計算のもとづいているが、系統的に数値精度を上げる方法を研究したい。また、超対称性の場合は計算が簡単化されると予想できるので、超対称性を持つ臨界現象に共形場ブートストラップ法を適用し、その臨界現象を理解したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外の共同研究者との共同研究を予定していたが、先方の健康上の都合で平成30年度に延期されたため、平成29年度予算の繰越が生じた。来年度共同研究を行う予定。 人件費・謝金を計上していたが、研究の進展からみて、来年度早期に謝金を伴った計算補助の業務を行う予定。
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