研究課題
(1)我々の独自の計算手法で、強レーザー場における原子電離の非双極子の影響について調べた。非双極子の影響で電離された電子はレーザーの進行方向に移動することが明らかになった。その影響は全体の運動量分布より小さいが、実験で観測範囲内である。研究結果は、ウィーン工科大学との共同研究で、Physical Review Letter に投稿した。(2)強レーザー場における原子の電離と励起は二つ独立の過程であるので、別々に分析するのが従来の研究にやり方であった。我々は量子欠損理論の元で、二つの過程を統一する分析手法を開発し、楕円偏光強レーザーにおける原子電離と励起との関係を明らかにした。その研究結果はPhys. Rev. Aに発表した。(3)最近、実験で強レーザー補助の原子X線電離電子の角度分布が測定された。その結果はこの分野でよく使われている強レーザー場近似の予測と異なるということが示された。その原因を調べるために、我々は理論計算を行った。電離された電子と親イオンとのクーロン相互作用の有無を比べて、その異常な角度分布はクーロン相互作用の影響であると明示された。その研究結果はPhys. Rev. Aに発表した。(4)最近、実験で、異常な強レーザーにおける原子励起確率と強度の依存性が観測された。その現象解明のために、理論計算を行った。理論計算で実験の現象を再現できた。さらに、Stark 効果の影響で、あるレーザー強度で共鳴の状態になり、異常な大きい励起確率になることが明らかになった。その研究結果は、グリフィス大学の実験グループとの共同研究で、Physical Review A に発表した。
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Physical Review A
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